第7章 revenge4.5
いつも彼がいる上の階段の上で立ち止まる。
彼は私に向き直ると、そっと首の後ろに手を回して、ネックレスに触った。
金具を弄ると、ネックレスを外して、私に持たせる。
ポケットからさっき買った指輪の箱を出して、その中から指輪を取り出す。
その指輪をネックレスに通しながら話す。
「これ、チョコのお返しね。オマエが12年後に戻ったら、指にはめて。」
チョコ・・・気付いてくれてたんだ。
てかこんな高いものがお返しなんて・・・お金、貯めてくれたのかな。
リングが2つになったネックレスを、また私につけてくれる。
指輪を手に持って見てみると、裏側に何か彫ってある。
「Always With You ?」
「いつも貴方の傍に・・・ずっとオマエの傍にいる。オレがもしオマエの目の前から消えても、もし死んでも・・・その指輪がオレだと思って。」
胸からいろんなものが込み上げてきて、彼の首に腕を回して抱き着いた。
なんでそんなこと言うの?
現代に戻ったら指にはめるんでしょ?
私は永遠に貴方のものになるのに・・・。
「プロポーズじゃないの?」
「ごめん・・・オレには出来ない。だけど、ずっとオレを想ってて欲しい。」
酷いよ・・・そんなこと言うなんて・・・。
私の腕を掴んで軽く押すので、少し離れると、唇が重なる。
腰に腕が回ってきてグッと引き寄せられて、もう片方の手も腕の下から回して肩をぎゅっと掴んで、キツく抱き締められた。
唇を離すと、肩に顔を埋められて、余計密着する。
私もまたぎゅっと抱き締め直す。
幸せなのか辛いのかわからないまま、彼の家に行く。
お爺さんに挨拶をして、仏壇の前に座った。
お父さん、お母さん、初めまして。
真一郎さん、お久しぶりです・・・覚えてないですよね。
エマちゃん、貴方がそっちに行って、半月以上過ぎたね。ずっと万次郎の傍にいてくれてありがとう。
みなさん、これからも万次郎を見守り続けてください、お願いします。
リビングに戻って、ご飯を作らせてもらった。
そろそろかな、現代に戻るのも。
この時間がずっと続けばいいのに・・・。
ここにエマちゃんや真一郎さんがいたら、もっとずっと幸せなのかな・・・。
ふと思い出してしまう・・・エマちゃんはもうここにいないことを・・・。