第7章 revenge4.5
「そういえば星那、あの初恋はどうなったの?彼氏いるみたいだけど・・・。」
彼女はチラッと万次郎に目を向けて、また私に視線を戻す。
そういえば好深ちゃんには、全部話してたっけ。
万次郎に助けてもらって好きになったのも、万次郎みたいに強くなりたくて鍛えてたのも。
彼のように強くなりたかったのに私は、得た力で大切な人を傷付けた。
さすがにもう諦めたかーと言う彼女に、あ、えっと・・・と吃ってしまう。
そうしていると、万次郎に肩を抱かれた。
「星那の初恋って、オレでしょ?」
彼女の目が点になる。
「あ、うん・・・好深ちゃん、彼が昔言ってた、助けてくれた男の子。」
少し沈黙が流れて、突然彼女が叫んだ。
「え、やばやばやばっ!!初恋、叶えたのっ!?あれから会えないって言ってたのに!!」
そうだった・・・好深ちゃんってこういう話、大好物だった。
すっごい興奮してる。
万次郎、ちょっと引いてるし・・・。
邪魔者は消えるねーと言って、アドレスを交換するとコソコソと後でいろいろ教えてねと、帰って行ってしまった。
「嵐みてぇだったな・・・。」
「そうだね・・・。」
少し見つめ合うと、2人して吹き出して声を出して笑った。
どのくらいか笑って落ち着くと、ありがとうと言って、彼の肩に頭を預ける。
万次郎のお陰で彼女との仲が修復でき、彼も元気になって、全部がいい方向に向かっている気がした。
これで大丈夫かな・・・未来の万次郎は大丈夫かな。
もう腐った人生じゃなくなった気がした。
彼の腰に腕を回して抱き着くと、彼も肩に腕を回してぎゅっと抱き締めてくれる。
愛してると呟くと、オレもと返してくれる。
すっごく幸せだ。
万次郎とも、東卍のみんなとも・・・ずっとずっと一緒にいられる、そんな未来が来ると疑いもしない。
そう思っていたのに・・・彼の一言で、それが疑いになる。
「オレ、東卍を解散させようと思う。」
解散しても、みんな一緒にいるかもしれない。
だけど、彼は・・・どこか、遠くに行ってしまう気がした。