第7章 revenge4.5
エマちゃんの葬儀から何日か経ち、佐野家も落ち着いてきた頃だろう。
そう、エマちゃんの死から、もう何日も経ったんだ。
だけど、私の心は落ち込んだままで・・・万次郎からの連絡も一切ない。
万次郎は私を必要としていない、そのことが突き付けられたようだ。
今思うと、稀咲のことだって・・・あいつのことは大っ嫌いだし、許せないけど、もっとちゃんと話せば分かり合えたのかもしれない。
私もタケミチくんも稀咲も・・・ヒナのことが大好きだから。
同じ人を好きになったもの同志だったんだから。
なのに、あんな死に方して・・・。
その時、懐かしい排気音が聞こえた。
どうして・・・もう私は、必要ないんじゃないの・・・?
チャイムが鳴る。
そっか、私以外誰もいないんだった・・・私が出ないと。
ノソリと起き上がって玄関に行き、扉を開ける。
「星那、走りに行こうぜ。」
「え?・・・あ、待って、準備してくる。」
彼は突然私の前に現れて、少し晴れた顔をして言うもんだから、咄嗟に返事をしてしまった。
とりあえず彼を中に入れて玄関で待ってもらい、急いで着替えて携帯だけを持ち、彼の元へ戻る。
2人でバブに跨って遠慮がちに掴まると、危ねぇからちゃんと掴まれと手を引っ張られてお腹まで持っていかれると、自然と身体がくっつき、ぎゅっとしてしまう。
身体が覚えているというのは怖い・・・。
だってもう、私たちの関係はなんでもないんじゃないか、そう思ってしまっているから。
彼はただバイクを走らせて、どこかに向かう。
彼の背中におでこをくっつけて、愛してると心の中で呟いた。
海が見えると、彼はバイクを止めて降りる。
私も差し出された手を握って降りると、彼は道路沿いにある堤防に登った。
上から手を伸ばしてきたので、それを握るとグンっと引っ張られ、私も上に登る。
彼が座ったので私も座ると私の肩を抱いて、ただずっと遠くを見つめた。
少し経つと彼は、呟く。
「よし、決めた。」
と・・・。