第7章 revenge4.5
彼はあの後、本当にすぐ帰ってしまった。
そして、あれから数日が経ち、千冬と一緒に彼の家に足を向ける。
家の前には、大きくエマちゃんの名前が書かれている。
万次郎やお爺さんに挨拶をして中に入り、祭壇がある部屋で、みんなが来るのを待った。
万次郎、一度も目を合わせなかった、ただずっと遠くを見ていて、無表情だった。
前は私の為に笑っていてくれていたんだね。
みんなが集まると、お坊さんが来てお経をあげ始める。
お経が終わると一人一人前に出て、お焼香をあげていく。
そしてドラケンさんの番になると、お焼香をあげて彼はお爺さんの前に向き直る。
「エマさんが好きでした。」
っ!
ドラケンさん・・・初めて彼の口から、はっきりと好きと聞いた。
そして頭を下げる。
「申し訳ありません、彼女を守れなかった。」
込み上げくるものを我慢出来ず、嗚咽を漏らして泣いてしまう。
「そうか・・・オマエも好いとったか・・・あいつもきっと浮かばれる。」
そんなドラケンさんの気持ちに、耐えきれずみんな涙を溢す。
エマちゃんはこんなにもたくさんの人に愛されていたのに・・・私は守れなかった・・・。
葬儀が終わりみんなが帰っていく。
私とドラケンさんは最後まで残り、お爺さんのところに行った。
「お爺さん、本当に申し訳ありませんでした。私は・・・エマちゃんが殺されるのを知っていました。なのに、守れなかった。」
頭を深く下げて、唇を噛み締める。
「人の命を守るのは難しい。オマエがずっとあいつの傍にいてくれていたのは、知ってる。」
頭を上げろと言われるが上げることが出来ず、涙がたくさん地面に溢れていく。
鼻水が出てくるがうまく吸うことも出来ず、ひっくひっくと声をあげながら泣く。
「星那、もういい・・・。」
バッと顔をあげて、万次郎にしがみつく。
「万次郎はっ、万次郎は泣いたの!?・・・ねぇ、ちゃんと泣いた?いっつも一人で、全部背負い込んでっ・・・私がいるのにっ・・・!!」
首に腕を回してぎゅっと抱き締める。
お願いだから、泣いてよ・・・泣かなきゃ、泣いて辛いもの流さなきゃ・・・そしたら少しくらい楽になるからさ・・・。