第6章 revenge4
タケミチくんが稀咲を蹴り飛ばして立ち上がる。
今でも鮮明に覚えてる、燃え上がる炎、立ち上がる黒煙、その前で誓ったと言ったタケミチくんが、未来のタケミチくんと重なって見える。
「東卍のトップになる、それがこの場所だ、稀咲。」
この場所・・・?
「ここは未来でオマエが、橘日向を殺した場所。」
ここ・・・?
そっか、8·3抗争後の・・・。
「何度も過去と未来を行き来したこの戦い、ここで決着つけようぜ、稀咲!!」
2人は対峙し合う・・・タケミチくんの姿は、私には・・・26歳の彼に見える。
稀咲が突然、やっぱりそうかと笑った。
「オマエ、タイムリープしてんだな。」
タケミチくんが突然、呆けて周りを見渡した。
稀咲が頭を抱えて笑い出す。
稀咲が最後だから教えてやるよと、タケミチくんに銃を向けた。
稀咲は神童と呼ばれていて、ヒナがそんな自分を好きだと思い込んでいた。
だけど、突然ヒーローが現れて、ヒナが心を奪われた。
そう、それがタケミチくん。
その日から稀咲はタケミチくんを尾け回して、日本一の不良になるという夢を持っていることを知った。
不良のことを調べて、本物にも接触した。
それは後に愛美愛主の総長になる。
でもそいつは日本一じゃなかった為、その後もたくさん調べてある1人の男に辿り着いた。
東京卍會総長、佐野万次郎。
中2の夏、稀咲はある目的の道中、偶然タケミチくんを見かけた。
それが万次郎と別れた後の土手だった。
自分が日本一の不良になる為に、万次郎は最高の媒体と考えた。
10年かかる壮大な計画の中心、万次郎の信用を得るのに、1年。
操るのに至るまでは、更に2年かかる見通し。
そして、共に東京を制するまで、3年。
日本を牛耳るまでに4年。
稀咲が日本一の不良と呼ばれるまで、計10年。
「そしてオレは、晴れて橘日向と添い遂げる。」
なにそれ・・・。
稀咲はタケミチくんにキレる。
何度、邪魔をした、橘はオレのオンナだ、てめぇには渡さねぇ、殺してやると・・・。
そんなにヒナを想ってるのに・・・どうして殺そうと思えるの?
好きなら、幸せになって欲しいって思うはずでしょ?
こいつの歪んだ愛情のせいで、万次郎は・・・。