第6章 revenge4
彼はエマちゃんの名前を呼び、秘密にするってケンチンと約束したけど・・・と言う。
「ケンチン、オマエのこと好きなんだぜ、両想いなんだ。」
病院着いたら、すぐケンチン呼ぶからと声をかける。
返事をしないエマちゃん。
タケミチくんに上着をかけてくれ、エマが、なんか冷てぇんだと震えながら言った。
タケミチくんは涙を溢れさせ、彼の名前を呼んだ。
そして万次郎が夢を話し始める。
「いつかオマエに子供が生まれて、ケンチンは家を建てるんだ。オレが遊びに行くとケンチンはオマエをほったらかして、酒飲みながら、もう何度も話した昔話で盛り上がる。」
もうエマちゃんには聞こえないとわかっていながら、彼は話し続ける。
頭ではわかってるのに、心がついていかないんだ。
「夜中まで居座ってさ、そのうち三ツ谷とかタケミっちとか呼んじゃって、もうドンチャン騒ぎでさ、赤ちゃんが起きちゃって・・・オマエと星那にオレは・・・ブチ切れられるんだ。」
その光景が頭に浮かんで・・・エマちゃんと同じような夢で・・・どうしようもなく涙が溢れてきて、息が上手く出来ない。
病院に着き、治療を終えて彼らの元に戻って私が見たものは、霊安室で安らかに眠る、エマちゃんの姿だった。
「エマちゃん・・・ごめんなさい・・・守ると誓ったのに・・・!!」
部屋の外の椅子で壁に身体を預けて、無表情に俯く彼の前に、力なく崩れて膝を付き、おでこを床に擦り付けた。
「ごめんなさいっ・・・ごめんなさい、ごめんなさい・・・。」
壊れた玩具のように、ただそれだけをずっと繰り返す。
私の声と、時計が時を刻む音だけが、その場に響く。
私たちの心を置き去りにして、虚しく時間だけが過ぎていった。
「マイキー・・・・・・ちょっとツラ貸せ。」
ドラケンさんが彼を連れ出す。
タケミチくんもそれについていく。
私も立ち上がって、霞むその姿にフラフラとついていった。