第6章 revenge4
ジュースを買った後だった、バイクの排気音がしてそちらを見ると、後ろでバットを持った男が雄叫びをあげて、私たちに近付いて来る。
稀咲・・・!?
咄嗟にエマちゃんの前に出て、迫り来るバットに目を瞑る。
「悪ぃな、オヒメサマ・・・。」
肩を押されて倒れ、地面に頭を強く打った。
押したのは、運転している、半間だった。
まさか、運転している方が押すとは思わなかった。
目を開けて映ったのは、エマちゃんがバットで殴られる姿だった。
打った頭から温かいものが流れているのを感じたが、うつ伏せになってエマちゃんのとこまで、這って進む。
タケミチくんがエマちゃんを抱えていた。
辿り着いたエマちゃんの手を握る。
「死んじゃダメだよ、エマちゃん・・・。」
掠れた声で話しかけるが、エマちゃんは返事をしない。
嫌だ・・・ダメ、エマちゃん・・・返事をして・・・お願いだから・・・。
ここで死んじゃったら、救えないの・・・。
タケミチくんが彼女の名を叫んだ時、万次郎が来た。
彼は呆然と彼女の名を呼ぶと、何があったか聞き、私には目もくれず、エマちゃんを背中に乗せろと言った。
タケミチくんが彼の上着を持って、私に肩を貸し、彼についていく。
溢れてくる涙に血を混ぜながら、ただただ歩く。
エマちゃんがマイキー?と呟き、目を覚ます。
エマちゃんがウチに何かあったら、ドラケンに伝えてと万次郎に言う。
「ケンちゃん、愛してる、って。」
万次郎が自分で伝えろと答える。
その時初めて、エマちゃんがドラケンさんのことを、ケンちゃんと呼ぶのを聞いた。
エマちゃんが弱々しくまた呟く。
「タケミっち、星那・・・マイ・・・キーを、おねがい・・・ね?」
可愛く笑った。
その時、万次郎の胸で組んでいたエマちゃんの腕が、ストンと力なく離れた。
いや・・・目を開けて、エマちゃん・・・!
どうして・・・守ると誓ったのに・・・私は何も出来ない。
鼻水を垂らしながら泣く、汚いとかそんなの、どうでもいい・・・エマちゃんにまた笑って欲しい。
ドラケンさんと結婚するんでしょ?
そこに遊び来た万次郎たちとバカやってるのを、叱るんでしょ?
私はエマちゃんの夢を守れないの・・・?