第1章 revenge1
私の膝に頭を乗っけて横になっている彼は、腕を伸ばして私の髪を指に巻き付けたりして、遊んでいる。
「エマのこと、聞いた?」
「あ、うん・・・腹違いの兄妹って・・・。」
「エマのこと、可愛がってくれな?」
そんなのあたりまえだよって笑って返したら、オレはオマエを可愛がるからって言われてしまった。
「そういえばオマエも話したいことあったんだよな、わりぃ。」
「ううん、大丈夫だよ。」
「で、話したいことって?」
今言ったらどうなる?
嫌われちゃう?
困った顔をしていると、頬に手を添えられる。
「話して?」
意を決して、言ってみることにした。
「愛美愛主との抗争を、やめて欲しい・・・。」
そう言った瞬間、彼は真顔になり、じっと見つめてくる。
「聞いてたのか?」
「うん・・・わかってるよ、パーさんの為だってことは・・・でも!でも、やめて欲しい・・・。」
一気に彼を纏う雰囲気が冷たいものに変わる。
「なんで?」
「今のマイキーさんが、いなくなってしまう気がするから・・・。」
「怖いの?」
怖い?
そうだ、私は怖がってるんだ。
抗争が起きてしまったら、私なんかがドラケンさんを救えないと思ってるから。
怖がっちゃダメだ。
マイキーさんと約束したんだ。
「オレがヤるって言ってんだ。オマエは東卍でもねぇだろ、口出しすんな。」
「ごめん、もう怖くないよ。私はやるべきことをする。」
この抗争は止められない。
彼らには、譲れないものがあるから。
彼らの意思を尊重しよう。
その中で私は、私の出来る限りを尽くして、ドラケンさんを救う。絶対に。
「星那、泊まってく?」
さっきの彼が嘘みたいに、温かい。
「迷惑じゃない?」
「いや、むしろ泊まれ。」
「うん!」
彼が、ものすごく愛しい。
ぎゅっと手を握って、彼の肩に頭を預けた。
「マイキーさんは私のもの。」
「ははっ、オレはオマエのものだ!」
私の頭に頬を擦り寄せてくる。
握った手をそのまま持ち上げられて、彼の唇へ引っ張られる。
「風呂、入ってきていいよ。」
手の甲に唇をつけたまま、そう言われた。