第5章 revenge3.5
夜が明けて温かい光が、私たちを包み込む。
天上がないこの廃墟で、バブが悲しそうにしていたこの場所で、私たちは終わる。
軽く口付けて、愛してると囁く。
万次郎が貼り付けたような笑顔でフワッと笑うと、私も笑い返して、頬を彼の胸に寄せる。
ガサ、ガシャと歩く音が聞こえてきた。
少し待つと、タケミチくんの姿が目に入るが、タケミチくんはまだ気付いてないみたい。
彼がタケミっちと呼ぶと、辺りを見渡して、やっとこちらを向く。
「マイキーくん!!星那ちゃん!!」
元気でしたか?と聞かれ、彼がうんと答えると、涙を溢れ出した。
それを見て彼は、泣き虫は相変わらずか?と言う。
そして私と一緒に立ち上がって、ここに呼んだのは頼みがあるからと続ける。
「ガキの頃は、いろんな奴らと殴り合って、わかりあって、笑い合って、泣いたりして・・・そうやって東卍は大きくなっていったんだなぁって・・・懐かしくなっちゃった。」
ニコッと笑う彼はあの頃のままで・・・私じゃなく、タケミチくんじゃないとダメなんだとわかった。
だから現代で私が傍にいても、変わらなかったんだと・・・少し悲しくなる。
タケミチくんは泣きやみ、嬉しそうに微笑む。
彼はタケミチくんに、東卍は変わっちまった、なんで東卍を出てったんだよ?と悲しそうに微笑む。
「一緒にいて欲しかった、兄貴のように叱って欲しかった。」
なんとか1人で頑張ったんだと、でも抑えられなかったと続ける。
「オレがオレでなくなることを。」
私はあの時、ドラケンさんにお願いした、彼の隣から離れそうになったら、叱ってくれと・・・道を踏み外しても・・・そうか、私がただ彼の隣にいることだけを願ったから・・・。
タケミチくんを引き止める彼に、ドラケンさんと三ツ谷さんが止めた。
オレも三ツ谷もこの先の命、オマエに預ける、そう決めた。
タケミっちはオレらの恩人なんだ、オレらみたいになって欲しくない。
あいつを巻き込まないでやってくれ。
そしてオマエもと、私を見る。
「タケミチくんを解放して、私がずっと傍にいる・・・だけどオマエは何もしてくれなかった。全てのオレを肯定し続けるだけ・・・叱ってくれと言ったのに・・・。」
私は何もしなかった・・・?