第5章 revenge3.5
「ん?・・・・・・まん、じろう・・・?」
「やっと起きた?」
え、万次郎なの?
黒髪だ・・・しかも短い。
私は万次郎の腕の中にいて、眩しい光が目に刺さる。
ここはどこなのか、どうしてここにいるのかわからず、混乱する。
みんなはどこ?
どうして万次郎しかいないの?
グルグル頭で考えていると、それを察したのか、万次郎が話してくれた。
「ここはフィリピン、兄貴がバブのエンジンを拾ったとこだ。・・・それとみんなはオレが殺した。そのうち、ここにタケミっちが来る。」
みんなはオレが殺した・・・その言葉に、目の前が真っ暗になる。
どうして、また・・・私は何も出来なかったの?
私を抱えるようにスクラップの山の上に座る彼に、どうしてと泣き付く。
彼はただ無表情に私を抱えていた。
泣き疲れて寝てしまって、夜になって目を覚ます。
もう何も考えないようにしよう。
私1人じゃ、過去には戻れない、タケミチくんを持とう。
夜は肌寒く感じ、肩を出してシャツを着る彼のシャツを、上にあげてぎゅっと胸元を閉める。
そしてそのまま、彼の胸に縮こまった。
「寒い?」
うんと頷くと、ぎゅっと包み込むように抱き締めてくれる。
彼の首元に目がいき、ドラケンさんと同じ龍の刺青が見える。
彼はドラケンさんを思って、それを入れたの?
首を伸ばして、刺青に口付ける。
「なぁ星那、タケミっちが来たら、オレと一緒に死んでくれ。」
「っ!?・・・うん、私はどこまでも、万次郎と一緒にいるよ。」
ここで終わりにしようか。
彼と終われるなら、構わない。
もう私には、万次郎しかいないんだ。
万次郎にも、私しかいない。
ずっとずっと、永遠に一緒だ。
もうあの頃のようには笑わない唇に、そっと口付ける。
愛してる、ただその想いだけを乗せて・・・。
唇を離して、私も彼の背中に手を回し、抱き締める。
もう少しで終わる・・・なら、その瞬間までずっと、こうしていよう、愛を伝えよう。
「万次郎、ずっと・・・永遠に愛してる。どこまでも一緒に堕ちて行こう。」
「ごめんな・・・ありがとう、こんなオレを愛してくれて・・・オレも愛してるよ。」
私たちは、ただずっと・・・抱き締め合った。