第1章 revenge1
「で、藁にもすがる思いでパーに相談してきたんだ。そんなん、ガキの喧嘩じゃねぇだろ?」
銀髪の人はむなクソわりぃ、とボヤく。
私だったらそんなゴミクズ野郎、ぶっ殺してやりたい。
当人も、ましてやパーという人も知らないけど、あまりにも悲しくて、悔しくて涙が出てきた。
なんか涙脆くなってるな、私。
銀髪の人は、愛美愛主はそういうチームなんだよ、と言った。
まるで、現在の東卍だ。
「どうする?パー。ヤる?」
マイキーさんは階段の上で、俯いたふくよかな人に向かって問いかける。
あの人が、パーさん。
「相手は2つ上の世代だし、ウチもただじゃすまないし、皆に迷惑かけちゃうから・・・。」
パーさん・・・みんなのことを考えて・・・。
でも、何もやらずにはいられないんだよね。
ここにいる人たちは、そういう人たちだから。
「でも・・・悔しいよ、マイキー。」
どうしよう、涙が止まらない。
「んなこと聞いてねぇよ。ヤんの?ヤんねぇの?」
「ヤりてぇよ!!ぶっ殺してやりてぇよ!!」
私は誰かを殴ったりしたくない。
例えそれが大切な人の仕返しだとしても。
めちゃくちゃ悔しいのはわかる。
でも、暴力は嫌だ。
「だよな。」
「え?」
マイキーさんが笑った。
「こんなかにパーのダチやられてんのに、迷惑だって思ってる奴いる!?パーのダチやられてんのに、愛美愛主に日和ってる奴いる?いねぇよなぁ!!?」
ここにいる人たちはそっちを選ぶのを知ってた。
仲間が大切だから、仲間がやられたら全力でやり返す。
大切なのは私も一緒だ。
私はここにいるほとんどの人がわからない。
パーさんのこともよくわからない。
それでも、ここにいる皆はマイキーさんの大切な仲間だ。
皆の顔付きが変わった。
笑っている。
「愛美愛主潰すゾ!!!」
マイキーさんのその言葉に皆が答える。
私の知らない、総長のマイキーさんがいた。
「8月3日、武蔵祭りが決戦だ。」
彼はそう言って、背を向けて去っていく。
8月、3日・・・?
それって・・・。
止めなきゃ・・・じゃないと、ドラケンさんが・・・。
ドラケンさんが、死んじゃう・・・っ!