第4章 revenge3
彼の背中に頬を付けてボッーとしてると、ぐぅ〜とお腹が鳴ってしまった。
その音が彼にも聞こえたようで、笑い出す。
「ねぇ!ひと口でいいから、ちょうだい!」
「やだー。」
咥えたたい焼きに手を伸ばすけど、腕を掴まれて、掠りもしなかった。
「わっ!?」
体勢を崩してバブから落ちそうになって、足に力を入れて踏ん張ろうとしたけど、力が入らずに倒れるそうになる。
でも彼が、掴んでいた腕を引っ張ってくれたので、何とか転ばずに済んだ。
「はふぁあお。」
たぶん、バカだろって言ったよね。
彼が振り向いたので、口に咥えているたい焼きに齧り付いた。
「んっ!?」
出ている分を全部奪い取った。
「なぁあ!?オマエー!!オレの!!出せっ!口開けろ、返せ!!」
自分の口の中に残ったたい焼きを飲み込んで、私の顎と頬を掴んで口を開けようとする。
絶対、開けないもん。
「オマエら、なにやってんだ?」
「あれ、どういう関係?」
三ツ谷さんと柚葉さんが、私たちを呆れた目で見てくる。
未だに私の口を開けようとする彼に、口を開けて中を見せる。
「おーれーのーがーなーいっ!」
ニコッとすると、余計怒った。
三ツ谷さんたちは、無視を決め込んだらしい。
とりあえず、万次郎にごめんねと言って宥めて、彼らの会話に耳を澄ませた。
どうやら大寿は、金持ちと繋がって、トラブルがあった時に黒龍の兵隊を貸してお金を貰っているらしい。
その集金役に柚葉さんを使っていた。
彼女は、黒龍でもなんでもないでしょ、最低。
柚葉さんはその役から開放されたと言うが、全然嬉しそうじゃない。
あたりまえだ、八戒くんが犠牲になったんだから。
三ツ谷さんの八戒が頑張ったのにという言葉に、柚葉さんは声を荒らげた。
八戒はオマエが思ってるより強ぇよという三ツ谷さんの言葉に、疑問を持つ。
確かに八戒くんは強いと思う、でも、柚葉さんはそれよりも強い気がした。
柚葉さんは背を向けて、三ツ谷さんに感謝を伝えた。
「でもね、その期待が、人を苦しめることもあるんだよ。」
やっぱり、あの姉弟には、なにかある気がした。