第1章 revenge1
急いでボコボコのタケミチくんに近付くと、近くにいた金髪の美少女が喋り出した。
「アンタもよくあんな娘がいるのに、ウチの話に乗ったね。」
本当に何したの、タケミチくん。
「でも勘違いしないでね。別にアンタのことなんてなんとも思ってないから。ウチはただ、早く大人になりたかっただけだから。」
彼女はチラッっとマイキーさんとドラケンさんの方を向いた。
恋する乙女、か。
「嫌になっちゃうよねー、ウチのことなんか興味ナシ!マイキーとバイクと喧嘩のことばっかり。」
ドラケンさんだ。
彼女が好きなのはドラケンさんだ。
振り向いて欲しいって気持ち、よくわかるよ。
でも、そんなやり方じゃ、ドラケンさんが悲しんじゃう。
君も苦しいだけだよ。
多分、あの娘はドラケンさんにヤキモチを妬いて欲しくて、身体を使おうとしたんだ。
「少しは怒るかなって思ったのに・・・。」
すごくドラケンさんのことが好きなんだね。
私がマイキーさんを好きなように・・・。
「タケミっち、終わったかー?」
「すいません、お待たせしました。」
タケミチくんは呼ばれて、彼らの方に駆けていく。
「星那、待っててね。」
ぼーっとその様子を眺めていたら、マイキーさんがそう笑顔で言った。
「わっ、わかった!」
それに答えて、彼らを見守った。
「オラ!!集まれテメーら、集会始めっぞ!!」
ドラケンさんのその声に答えるように、みんなはぞろぞろと神社の階段を上がっていく。
「エマ!この娘星那ちゃんだ。この娘も頼むな。」
「りょーかい。」
ドラケンさんがそう言うと、先程の金髪美少女が近付いてくる。
「よろしく!」
「こちらこそ、よろしくね!」
エマちゃんか・・・可愛い名前だな。
みんなが居なくなり静まり返った階段に腰掛けた。
「星那も誰かの彼女?」
彼女がそう語りかけてくる。
「ううん、マイキーさんの友達。」
「マイキーの?」
彼女はマイキーさんとも親しいみたいだ。
「エマちゃん、ドラケンさんのこと好きなんだね。」
「バレたか。でも、あいつは全然、ウチのこと見てくんない・・・。」
見て貰えないことがどんだけ苦しいことか私は知ってる。