第3章 revenge2.5
ベッドがある方のドアではなく、その反対側にあるドアがノックされた。
「総長、稀咲です。」
稀咲がここに来るということは、やっぱり稀咲が東卍を変えた。
場地さんが命懸けで救った東卍を、私たちは守れなかった。
万次郎は何も答えなかったが、稀咲はドアを開けて入ってくる。
「っ!?・・・珍しいですね、姫がこちらに出てくるのは・・・。」
あんたが、その名前で呼ぶな。
私はあんたを、東卍だとは認めない。
彼の背中に回した手に、ぎゅっと力を入れた。
「幹部集会後、林田春樹と林良平、松野千冬の始末は終わりましたが、花垣武道には逃げられました。恐らく、羽宮一虎に邪魔をされました。」
っ!?
殺したというの・・・?
みんなを・・・?
タケミチくんが逃げ切れたなら・・・でも何故、一虎さんが・・・?
だけど、友達思いのパーさん、怖いけど本当は優しいぺーさんを・・・そして、私の大切な千冬を殺したのは、絶対に許さない。
「そうか。」
「三ツ谷隆の遺体を、警察が見つけるのも、時間の問題だと思います。」
三ツ谷さんまで・・・?
まるで、万次郎が彼らを殺すのを、指示したみたいに・・・。
そうだ、ドラケンさんはどうなったの?
生きているなら、稀咲がここにいるはずない。
ドラケンさんは、絶対にそんなことをさせるはずない。
「万次郎、貴方じゃないよね・・・?みんなを殺させたのは、万次郎じゃないよね!?」
「オレが信じてるのは、オマエだけだ。」
嘘、だ・・・なんで・・・大切な仲間でしょ・・・。
「ドラケンさんは・・・?」
「そのうち、死刑執行される。」
死刑囚・・・前と同じままだ。
万次郎が一虎さんを殺すのを止めても、意味はなかったの?
無理矢理彼を引き離し、頬を叩いた。
叩いた勢いで彼は横を向く。
「どうして、信じないのっ!?みんなの気持ちを!!どうして、場地さんの死をムダにするのっ!?・・・それじゃあ、私がしてきたことは、なんの意味がないことになるじゃない・・・。」
彼を責めてもダメなのは、わかってる。
稀咲のせいだってことも・・・それでも、みんなを信じて欲しかった・・・場地さんの思いをわかって欲しかった。