第3章 revenge2.5
彼の動きが止まった。
咄嗟に彼の下で身体を動かして、母に背を向ける。
腕を彼の首に通したままなので、彼も体制を崩し、私を庇うように肘をついた。
「あんたたちまだ中学生でしょ!?なにしてるの!?」
怒鳴られて、肩をビクつかせた。
母は厳しい・・・こんなとこ見られたなんて・・・絶対殺される・・・。
ドスドスと近付いてくる音がする。
「マイキーくん、なに考えてるの?そこまで許したつもりはないんだけど?」
めちゃくちゃキレてる・・・!
彼に覆い被さって、守るように抱き締めた。
「私が誘ったの!!万次郎は何も悪くないもんっ!!」
あんなことを言って家に誘ったのは私だ。
今日は遅くなるって言ってたから呼んだのに・・・万次郎に嫌な思いさせちゃう・・・。
「星那、退いて・・・オレだって悪ぃし。」
肩を押してくるので、腕を緩めて顔を見ると、微笑んでた。
通していた腕を外して起き上がると、腕を縛っていたネクタイを外してくれる。
はだけたブラウスを優しく締めて、母に身体を向けた。
そして、土下座するように頭を下げて話し始める。
「すいません・・・今のことだってそうですが、前にオレは・・・星那を無理矢理、抱きました。」
母は彼のその言葉に青筋を立てて、手を構えた。
なんでそんなこと言うの・・・言ったら、余計怒るなんてわかるでしょ・・・。
母が手を振り被る前に、万次郎の前に出て庇う。
退きなさいと言われるが、絶対に退かない。
「オレの大好きな幼なじみが死んだんです。オレはそれが悲しくて辛くて、星那を求めました。嫌がる星那を無理矢理、抱きました。」
頭を下げたまま続ける彼が、すごく小さく見えて・・・何も言わずにはいられなかった。
「私は万次郎を許したの・・・彼はこんな私を求めてくれる、必要としてくれるっ・・・私には、万次郎しかいらない・・・。」
確かに母が言ってることもわかる、だけど私は、この人が欲しい・・・この人の全てが欲しい。
彼のこれからの人生に私を入れて欲しい。
「本当にすみませんでした。本当は言いたくなかった・・・だけど、星那のことを大切に育てていることを知っているので・・・。」
彼の真摯さが伝わってくる。