第3章 revenge2.5
食べ終わったペヤングを床に置き、千冬の話の続きを聞く。
「そのガリ勉が、場地さんだった。場地さんはオレに、ペヤング好き?って聞いて、自分ん家に連れてってくれた。でも家にあったペヤングは1個だけで・・・場地さんは、半分コなと言ってくれた。」
そうか、それで・・・ペヤング、半分コなんだ・・・。
場地さん、かっこよすぎ・・・。
「星那も知ってるだろうけど、オレは先輩相手でも敬語を使わなかった、自分が1番偉いと思ってたから。初めてオレが敬語を使ったのは、場地さんなんだ。」
そこで止まり、千冬は下を向いた。
そして、肩を震わせ、拳を握り締めて、話を続けた。
「初めてかっけぇって思った人も、初めて付いて行こうと思った人も・・・全部、場地圭介だった。」
千冬は肩を震わせながら、何個もの雫を膝に落としていった。
ありがとうと言いながら、千冬を包み込むように抱き締める。
ごめんなさい、場地さんを救えなくて・・・。
この人には、いくら謝っても、謝り足りない・・・千冬の全ては、場地圭介というたった1人の男だったのだから。
声を上げて泣く千冬の背中は、いつも私を慰めてくれる時とは違う、とても小さいものだった。
万次郎は、そんな私たち2人を、静かに見守ってくれてる。
「場地さん、どうして連れてってくれないんスかぁ・・・!!」
千冬のその言葉に、涙を流した。
どんな言葉をかければいいのか、全然わからない。
「ごめんなさい・・・ごめんなさい・・・。」
ただ謝り続けることしか出来なかった。
自分にはなんの力もないと・・・大切な人を守れる力がないと、自分に言われてる気がした。
こんなどうしようもなく酷い、悲しみの連鎖を終わらせられる力が欲しいと、強く望む。
「泣かないで欲しいにゃ、オレがいるにゃ。」
突然聞こえてきた温かい声に、横を向くと、ペケJを持ち上げた万次郎がいた。
「マイキーくん・・・。」
「プッ!!・・・万次郎にゃんこがいる!ふふっ。」
千冬は万次郎からペケJを受け取り、笑った。
そんな千冬を万次郎の手を握りながら見て、微笑む。
ありがとう、万次郎。
やっぱり貴方は、とっても温かい人だ。