第3章 revenge2.5
そうだ!と言って、リュックを膝の上に置いた。
「なにー?」
「ちょっと待ってね。」
リュックの中から紙袋を取り出し、その中からブレスレットを取り出す。
紙袋は彼がカバンを持っていない為、リュックの中にしまった。
彼の左腕を取って、膝の上に乗せる。
「ブレスレット?赤だー!」
「万次郎に似合うと思って、安物だけどね。」
ブレスレットを付け終わると、腕を翳してニコニコと眺め始めた。
さっきとは打って変わって子供っぽくなる彼に、目を細めて笑った。
お子様セットの旗を見た時のように、目をキラキラさせている。
「オレの宝物。」
と言って、とても愛おしそうにブレスレットに口付けた。
「っ!?・・・大袈裟だなぁ、安物なのに・・・。」
「星那から初めて貰ったものだから、宝物なんだよ。でも、これから貰うもんも宝物だけどな!」
ニカッと笑う彼の頬にちゅっと口付ける。
これからいっぱいいろんなものあげるねと言って、彼の肩に頭を預ける。
オレもいっぱいあげるねと言って、私の頭の上に頭を乗せた。
そのまま沈みゆく夕日を2人で眺める。
ここは私のものだ、誰にも譲らない。
彼の隣は、一生、私専用なんだから。
海が空の色を映して黒く染まった頃、バブに乗り込んだ。
特徴的なバブーという排気音をたてながら、帰路を辿る。
「もう痛くない?」
「なにが?」
「昨日、あんなことしちゃったから・・・。」
大丈夫だよと答えて、彼の背中に顔をスリスリする。
本当はめちゃくちゃ痛い。
でも、この嘘だけは許してね。
それから夜の街を駆け抜け、家に着く。
もう着いちゃったのか・・・彼といる時間は短く感じる。
「ごめん、寒かったよな。」
「ううん、全然!」
彼の手を握ると、すごく冷たかった。
ちょっと待っててと言って、家の中から手袋を持って来て、彼の手に履かせた。
走り去っていく彼を、テールランプが見えなくなるまで見送る。
家の中に入り携帯を確認すると、三ツ谷さんからメールが着ていた。
《 明日の放課後、ウチの学校に来てくれる?》
とのことだった。
明日は、三ツ谷さんの学校に行かなきゃ。