第3章 revenge2.5
エマちゃんは、初めてでも、普通にやったらそんな血出るはずないでしょと泣いて怒ってくれた。
「エマちゃん、私、大丈夫だよ?マイキーさんのこと大好きだから。」
彼女に泣いて欲しくなくて、彼を責められたくなくて、微笑んでみせた。
彼女は、私のその言葉と掠れた声に、余計泣いてしまった。
「エマちゃんが泣かないで?」
お願いだから、泣かないで・・・どんなに痛くても、苦しくても・・・私は嬉しかったから・・・。
彼に必要とされたことが・・・。
彼は泣き崩れるエマちゃんを通り過ぎて、脱衣所に入る。
私の身体を壊れ物を扱うように、酷く優しい手つきで洗い、立ち上がれない私をもう一度抱き上げて、部屋に戻った。
ベッドに寝かせてくれた彼は、ベッドサイドに座り、身体を捻らせて覆いかぶさるように、優しいキスをした。
私の手を握り、ごめんごめんと何度も呟く。
「大丈夫だから、泣いて?」
彼は目に涙を溜めて、私のお腹に蹲った。
そんな彼の頭を優しく撫でた。
指に髪が絡まらないように、慎重に。
彼の嗚咽だけが響く部屋に、突然ドスドスと足音が聞こえてきて、バンッと大きな音をたててドアが開かれた。
「マイキー、てめぇ、なにしてんだ!?エマから連絡あったぞ、てめぇに星那ちゃんが壊されるってよ!?」
怒鳴って入ってきたのは、ドラケンさんだった。
マイキーさんはなんの反応も見せず、ただ私のお腹に蹲る。
「ドラケンさん、私は壊れないよ。マイキーさんに誓ったから・・・。」
一度、ドラケンさんに笑顔を見せて、彼に目線を戻し微笑む。
私は、この人を、狂おしい程愛してる。
20年間、ただひたすらに、この人だけを想い続けた。
どんなに酷いことをされても、彼を嫌いになることも、離れることもない。
私は、人生をやり直してまで、この人を愛してるんだ。
もう、どんな彼でも、否定することは出来ないよ。
「ドラケンさん、私は・・・こんなに弱くてちっぽけなこの人を、どうしようもない程、愛してる。」
「星那、オレも・・・この世界に存在するどんなものよりも、オマエを愛してる。」
顔を上げて彼は、私の腕を掴んで手首にキスをした。