第2章 revenge2
決戦前日になり、私は彼に連れられ、公園に来ていた。
ジャングルジムの1番上に座り、肩に掛けた特攻服を垂らす彼の横顔を見つめた。
もう少ししたら、タケミチくんも来るらしい。
橙に染まる空を見つめながら、仰け反るように後ろについた彼の手を握った。
「マイキーくん・・・場地くんが、マイキーくんは敵だ、明日オレが殺すと言っていました。・・・すいません。」
タケミチくんの声が、そう後ろで聞こえた。
「そっか・・・。」
場地さん・・・どうして1人で抱え込むの。
貴方は明日、何をしようとしてるの。
子供の頃よくこのジャングルジムで場地さんと遊んだと話し始めた彼の顔は、清々しいようで悲しそうだった。
タケミチくんが場地さんを連れ戻せなかったことを謝るが、彼は場地さんが引かないなら仕様がないと、目の前を見据えた。
「明日は決戦、東卍の連中は戦闘モードだ。もう、腹括ったよ。」
貴方のその目には、何を映しているの?
場地さんと争わないで欲しい・・・。
幼なじみであり、親友の場地さん・・・そんな人と彼は戦わなきゃならない。
どうして私は、何も変えられない。
「マイキーさん、私は場地さんと貴方を戦わせたくない。」
彼は何も言わず私を引き寄せて、頭を包み込んで顔を擦り寄せた。
そんな彼に私は、ただ下を向いて、唇を噛み締めることしか出来なかった。
夕日が完全に顔を隠した頃、私たちは武蔵神社にいた。
「これより、vs.芭流覇羅決戦の、決起集会を始める!!」
ドラケンさんの声が神社の敷地に響く。
マイキーさんが前に立つと、ピリッと空気が引き締まり、緊張が走る。
裏切り者は容赦しない、それが東卍のやり方。
明日彼は、場地さんとやり合わなきゃならない、でも私は、場地さんを守る。
マイキーさんは一度、言葉を止めた。
「オレ、ガキになっていーか?」
と言って、子供が拗ねたような顔をし、座った。
その様子にみんながポカンとなる。
私も例外ではない。
すると、とても澄んだ優しい顔をした。
「オレはダチとは戦えねぇ。」
その一言に、私は涙を流し笑った。
よかった・・・彼らは争わない。
そのことが、私の心をふわりと温めた。