第1章 日常
明日になれば夏休み。
学生達が待ちに待った時を咲羅も僅かながら嬉しく思っていた。
「ねぇ咲羅、HR終わったら体育館倉庫来てくれるよね?」
そう声をかけてくるのは須藤茉莉花(すとう まりか)とその取り巻きである萌(めい)と唯(ゆい)であった
「…」
「あれぇ?聞こえなかったの?」
後ろから萌が顔を覗かせギロっと睨みつけると、唯は机を蹴り「来るよね?」と圧をかけてくる
下を俯く咲羅は静かに頷き、須藤はニヤリと微笑み席へ戻る
初めは気軽に話したりする仲だった
けれどいつからか、急に距離が離れてコソコソと悪口を言われ始めるようになった
茉莉花からは圧力をかけられいつもどこかへ連れていかれては好き勝手される日々になって行った
HRが終わりまた茉莉花たちが席に寄ってくると
「体育館倉庫…行こっか?」
萌と唯は私の腕をとり不敵な笑みを浮かべながら体育館倉庫へ向かう
周りも分かってるのに誰も止めようとしない
きっと茉莉花がこのクラスで1番上にいるから
止めようとすれば私と同じことになる
その恐怖から逃れるために見て見ぬふりをする
「えーい!」
私はマットに向かって思い切り投げ飛ばされる
振り向くともうそこには茉莉花が立っていて、いつもニヤリと微笑み私へ向かって言葉を投げ捨てる
「ちょっと今日ストレス溜まってるからさぁ、付き合ってくれる?」
「……」
「萌と唯もストレス溜まってるよね?」
「もちろん」
「コイツが学校にいるだけでストレスだからw」
そう言うと3人は私に目がけ体育倉庫にあるボールを投げつけ始める