第2章 『 無敵ベイベー 』✱三ツ谷/裏有/幼なじみ
タカちゃんは私の歩幅に合わせて歩いてくれる。
枯葉をし鳴らせ歩き続けると昔通っていた図書館が目に止まった。
ここはタカちゃんと私の思い出の詰まった場所だ。
「図書館、懐かしいね」
「お、久々寄るか」
幼い頃タカちゃんのお母さんがお休みの日はこぞってここで遊んだものだ。
まるで2人だけの秘密基地のように私達は図書館に集まりあった。
ここには読書を思う存分楽しめるよう個室が完備されていて
懐かしい個室のドアを開けるとそこにはさほど色褪せていない壁と
ちょうど大人2人分入れる広さの広間があった。
「子供の頃は、もう少し広かったのにね」と肩が触れ合う度、どちらとも無く自ずと笑みが零れた。
背中に合わせに座り、思い思いの本を手に取る。
「タカちゃん、来年卒業だね」
「おー、はやいな」
「タカちゃんは将来の夢とかあるの?」
「ファッション系かなー。オマエは?」
「私は···まだ決まってない」
「そか、ゆっくり決めればいんじゃね」
「うん」
ぽつりぽつりと小声で会話しながら頁を捲る。
「あのさ」
「ん?」
「オマエの事好きだわ」
「······え?」
他愛もない会話の延長線上での言葉に耳を疑い、思わずタカちゃんの方を振り返った。
変わらず私に背を向け、今も尚裁縫本に目を通し読み進めている。
「ほんと···?」
「ん」
私はそれを聞いた瞬間、手からするりと持っていた本が溢れ
タカちゃんの大きな背中に抱きついていた。
「私も、私もタカちゃんが好き···っ」
突如視界が回転し、次の瞬間にはタカちゃんに組み敷かれているのだと気づいた。