第1章 R h p l ss
「名前、オレを殺してくれないか?」
自分の人生に関係ないと思っていたソレ、拳銃を手渡されマイキーくんは表情ひとつ変えずに頼んできた。
「や、だ・・・なんで・・・?」
「オレな、もう終わらせたいんだ」
名前が見つめた先の万次郎の瞳には色がなく
あるのは苦しみと絶望の色だった。
見つめ続けるほど魅入られ、狂ってるのが誰かさえ
どうでも良くなってきたように思えるほど
マイキーくんは、綺麗だった。
「・・・そんなんじゃ、たかちゃんは返ってこない・・・」
「名前が思うようにしてくれていい。
オレを殴って指を落としてどんな拷問してくれたっていい」
叱ってくれ、罰してくれ、と言わんばかりの万次郎に夢子は吐き気がした。
それはあまりにも自己中心的な一方的な押しつけだ。
「そんなの、あの優しいたかちゃんが望むはずないよ」
「・・・」
「マイキーくんもわかってるんでしょ」
「・・・ッ」
万次郎の瞳に涙が浮かんだ。
人前で涙を堪えきれないのは初めての事だ。
でも本当は泣きたかった、泣けなかった。
しがみつきたくとも誰も居なかった、オレはマイキーじゃなきゃダメだから。
人前で涙を、見せてはダメだから・・・。
三ツ谷を殺めたあの日、確かに三ツ谷は穏やかに笑っていたのだ。
マイキーに殺されるなら本望だと
マイキーが背負ってきた重さが少しでも軽くなるならと
俺が何かの役に立てるならと
三ツ谷は笑って、逝った。