第1章 R h p l ss
「マ・・・ーくん?」
あぁ、アイツの声がする。
これは夢なのか
「マイキーくん?」
声の主を見やると心配そうな名前の瞳。
「・・・悪い、最近ぼうっとする事が多いんだ」
「大丈夫・・・?じゃなさそうだね・・・。」
名前はごめんねとぽつりと零しそれから暫くお互いに口を噤んだ。
月明かりが部屋を照らし
万次郎の黒髪がより一層艶やかに見えた。
名前は職業柄指名手配犯等には詳しかったが
まさか指名手配された張本人が目の前に居るなど考えも出来ず、ましてやそれが同一人物とは思えなかった。
いや頭の中では分かっていたのかもしれない
それでもただひたすらに目の前のマイキーくんが
懐かしく、愛おしくそして儚く映っていた。
まさかあの優しい、自分を救ってくれたマイキーくんが
たかちゃん、三ツ谷隆を殺したなど思ってもいなかった。
それ所かフィリピンに居たであろうマイキーくんはたかちゃんの死を知らないかもしれない。
「マイキーくん・・・」
「ん」
「たかちゃんがね、三ツ谷隆くん・・・亡くなったの。
殺された、の」
「・・・」
万次郎の瞳はは三ツ谷の名前が出た途端
元の名前を見つける前の淀んだ色に戻った。
そして虚ろに一点を見つめていた。
「マイキーくん、知らないかと思って・・・」
「・・・知ってる」
「え?」
「オレが、殺した」
まるで後頭部を鈍器で殴られたような感覚が走った。
この人は今何て言ったんだろう
こ、ろ、し、た・・・?
たかちゃん・・・を?
名前の肩はわなわなと震え
そんな冗談受け入れられない、笑えないと
万次郎に必死に間違えを訂正するよう促したが
残念ながら事実のようだ。
あのたかちゃんが死んだって聞いた時も
信じられなかったのに、たかちゃんを殺めたのが
マイキーくんだと言うの・・・?
万次郎は名前を真っ直ぐ見つめ、
オレが殺したんだと切なげに二度目の自白をした。