第1章 R h p l ss
パニックに次ぐパニックで、頭は混乱し何とかして退いて貰おうと佐野さんの肩を叩いたがびくともしない。
私の意に反して唇が交わされ続けたが命の恩人とは言え、見ず知らずの人にキスされて居るのに嫌じゃなかった事が自分らしく無く信じられなかった。
私、どうかしてる・・・。
涙が名前の頬を伝っていた。
その様子を見た万次郎は仕方なく名前の唇を解放した。
「オマエ、名前だろ」
「え?」
自己紹介もままならなかった私の名前を佐野さんは言い当てた。
とっさの返答に困り、暫しの沈黙が流れたが
何故名前を知ってるのかやはり理解できず私は返す言葉を模索していた。
「当たりくじ、アイツに渡せたか?」
「!!」
黒髪を弄りながら微笑む彼をよそに私の頭は大混乱した。
当たりくじ?
佐野-万次郎一・・・?
遠い記憶にシシと笑うあの少年の姿が目に浮かんだ。
まさか、あの・・・?
「マイキーくん・・・?」
「久しぶり、名前」
佐野万次郎一マイキーくん一は
私の頭を優しく撫で、ふわりと笑った。