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【東リべ】xe:xoxexexx 【佐野万次郎】

第1章 R h p l ss



「名前、お前は、優しい子だね。
そのままのお前でつよい、強い大人になるんだよ」

これは別れ間際に祖母が贈った呪いにも似た遺言。
当時の名前はまだ幼く到底意味など理解出来るはずも無かった。
只祖母の瞼が重そうで、とろりと眠たそうにする祖母を眺めてきょとんとしていた。

名前への言葉を贈り終えた祖母は息を引き取ったが、握っていた祖母の手がどんどん冷たくなっていくものだから
「おばあちゃん冷たい・・・どうして?なんでお返事しないの?」と母に訳をせがんだ。

今思えば祖母の気持ちは重く、苦しく、痛い。
それは、偽善とも、無謀とも、夢物語にも似た祖母の・・・
紛れもない私へ宛てた望みだった。

たかちゃんを殺したマイキーくんに
私は優しく接する事が出来るのか?
優しく接する事は必要なのか?
そもそもこれは本当に優しさか?
もう誰の為でもない、誰ももう居ないじゃないかと、たかちゃんの闇が劈く。

プツンと名前の中の何かが切れる音がしたけれど
それが何かはわからなかった。

・・・どうして、たかちゃんはここに居ないんだろう。

どうして、未だにマイキーくんの事が
好きなんだろう。

思いが、考えが、ぐるぐると巡り
その夜はすやすやと眠る万次郎をよそに名前は一睡も出来なかった。
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