第21章 【第二十訓】『えいりあんVS侍の圖』の話
真選組幹部の面々は、えいりあんの死骸を運び出す作業を行っていた。
仕事を終えてパトカーに戻った土方は、後部座席に座る○○の姿を見た。
「何してんだ、テメェ」
「このまま帰るんでしょ。屯所」
「万事屋に寄って行かせようなんて思うなよ」
「誰がそんなこと頼んだのよ。私も屯所に行くの! 屯所に!」
「あ?」
○○のことだから、パトカーを無賃タクシー代わりにしようと目論んでいるのだと思っていた。
――いつでも屯所に遊びに来い。
大晦日を前に屯所に顔を見せた○○は、近藤にそう言葉をかけられた。
その場にいた山崎は笑顔を向けて同意していた。みんな大歓迎しますと。
沖田や土方は黙っていたが、来るなとは言っていなかった。
「親孝行したい時には親はなし、か」
○○が銀時達の元へ戻った時、銀時は手を挙げて星海坊主の元を去ろうとしていた。
――自分を想ってくれる親がいて、他に何がいるよ。
銀時はそんな家族がほしかったと言っていた。
銀時に対し、新八は自分を家族だと思ってくれていいと言っていた。
○○も万事屋の三人を家族のように大切に思っている。
それからもう一ヶ所、家族のような人達がいる。
「アレ? 何してんだ、○○。万事屋まで送ってけってか?」
パトカーの後部座席に○○を見つけた近藤は、窓越しに声をかけた。
「近藤さんまで、私をなんだと思ってるんですか。今日は屯所に泊まります!」
親はもういないらしい。
けれど、親代わりならここにいる。