第5章 小彼岸
晴翔に花を届けると驚いたような顔している。
「わすれもの、…はぁっ、走ったぁ」
息切れする、運動不足が祟ったな………、
「どうしてお前が…まぁ、ありがと。」
「あ、そうだ。フーッ……またのご来店お待ちしております。
なんてね、」
息を整えてそういえば、ふっと笑って
「お礼させて、今からご飯でも」
「あ、それはごめんなさい。またにしてください。」
「は?!」
「ごめん、晴翔。今日は大切な用事があって、だからどうしても今日はすぐ帰りたいの。
埋め合わせはさせて!やくそく!あ、連絡先交換しておく?」
「連絡先交換はしてやる。でも許さない。」
「え?なんて?」
「連絡先はもらってやるって言ってんの!早くスマホ出しなよ。」
そう言ってささっと私と彼のスマホにそれぞれ連絡先を登録した晴翔は、さっさといけと、可愛くないことを言う。
でも、ごめん。
私、弟他何かを天秤にかけたらそっちが、ちゅドーンなのよ、
背に腹はかえられないのよ!
なんて思いつつ、家に着く頃にはすっかり辺りも暗くなっていて、帰るの遅くなったなと少し気落ちしてると寮の灯りが増えて、
玄関には見たことのない靴、そして談話室から数人の声が聞こえる。
「…っ」
もしかして…!!
「ただいま帰りました!!っ、支配人!支配人!!遂にですか?!」