第11章 染井吉野
ー…そして翌日。
今日は、撮影日だ。
「芽李さん、こっちきて。ここ結んで」
「うん、わかった!」
春組ではこういうふうにしなかったから、なんだか新鮮で。
そして、ちょっと嬉しかった。
「…よし、こんなかんじかな?」
「上出来。」
「じゃあ、あっち手伝ってくるね」
「うん」
それぞれ着替えを手伝って、中庭へと誘導する。
「はい、みなさんこっち集まってくださーい!」
「……ぴったりだな」
幸くん印の衣装だもん、当たり前じゃん!なんて、私まで得意げに思ってると、幸くんにジト目をされる。
「な、なんでしょう」
「オレより、得意げな顔してるから。その顔ムカつく」
「ど、どうかな?」
「椋くん、最高だよ。カッコ良さと可愛さと優しさともう全てを兼ね備えた天使に見える。もう全てが良い。そもそも」
ーぐいっ!
「悪く無いんじゃない」
「ちょ、幸くん」
「圧つよすぎ、椋がひいてる」
「えぇ…」
まぁ、でもどんな椋くんでも天使なのでよき。写真撮らせてもらいたい。むしろ、ブロマイドそれぞれ買う。
「ゆっきーも似合う!」
「みんなひらひら、ぴかぴか〜!」
残りのメンバーも揃って、監督が私の隣に並ぶ。
「わぁ、こうして衣装着て並ぶと壮観だね〜」
「そうだねぇ。今回もよろしくお願いします、監督」
「ふふ、芽李ちゃんってば」
みんなが支度をしたのを見て、支配人もどこか嬉しそう。
「それじゃあ、カメラマンさん呼んできますね!」
弾むような足で、中へと入った支配人。
「あれ、今回は支配人が取るんじゃないんだ」
「オレっちがNGだした!」
「え?そうなの?」
「春組のとき、写真の解像度が低すぎて誤魔化すの大変だったんだよ〜!
ゆっきーの衣装の良さも分かんないし!」
「そう言えば写真小さかったね。」
「あの解像度で印刷はムリっすわ〜」
「でも、そう言いつつ春組のパンフとかもフライヤーも、すっごくよかった!
かずくんもゆきくんも天才!将来が楽しみ!」
「ふ、おおげさすぎ。まったく、オレたちのこと褒め過ぎ」
雑談をして待ってると、支配人がもどってくる。
そして、ででーんと手を広げ紹介する。
「お待たせしました!カメラマンの伏見臣さんです!」