第10章 大島桜
「イタル〜」
ートントン トントトトン
「ちょ、何のリズム…って、みんな揃ってどうしたの?」
いつものちょんまげと、スカジャン。
「約束のピザパーティーネ」
至さんとの約束、シトロンくんに話したことあったかな?
それとも2人でしてたのかな?
「何でシトロンそれ知ってるの」
「イタルとメイが話してるの聞いてたネ。障子にメアリー背後にシトロンネ!」
「なにそれ怖すぎ。まぁ、入ってもいいよ。みんなでマリカーしながらたべよ。」
ふふふと笑う至さんを見ながら、外面じゃなくても最初の頃と比べて柔らかく笑うようになったなぁと思う。
「至、ゲームは?」
「いつものは緊急メンテ。ソシャゲは体力回復まで時間あるし。」
「そんなイタルに重要ミッションネ。」
「なにそれ。」
「仲直りイベント発生中ね!」
「察し。最重要じゃん、それ。でも、咲也と綴いなくない?」
「お風呂だって」
そういうと、一瞬考え込んだあとニッコリと笑った至さん。
「ふーん?じゃあ、芽李2人のこと呼んできてよ。」
「は?」
「荒療治も必要でしょ、ほらAボタン押したよ。アクセルだから、早く行ってきて」
「この前は、Aボタンブレーキだったよ」
「それは違うゲーム機。今日はこっちだから、アクセルなの。ついでに場所代ってことでコーラ持ってきて。急いで」
「じゃあ俺アイスコーヒー」
「ワタシ何でもいいネ」
人使い荒すぎ。
物理的にも荒すぎ。
ブラックホールみたいな至さんの部屋に真澄くんとシトロンくんを入れると、私を残してパタンと扉が閉まった。
「…んー」
…このドアどうしてやろう。
「芽李さん?」
「え、あ…綴くん。」
「何してるんすか?こんなとこで。」
偉く優しく聞いてくるもんだから、言いつけてやろうと思って。
「暴君内面干物外面仮面ヤローが、」
「至さん凄い言われようだな、おい。」
「パシってきたんですけど、綴先生どうにかしてください」
「俺は担任か!何を頼まれたんですか?」
いちいち突っ込んでくるじゃん、テンポいいな。全く!
「綴くんと咲がお風呂入ってるから悪いんだ!」
…完全に八つ当たりである。
ー…どたんばたん
「咲也」
「あ…」