第7章 豆桜
「あれ?左京さん、おはようございます」
朝早くカンパニー前の掃除をしていると、綺麗な金髪が目に入る。
「あぁ、おはよう。元気そうだな」
柔らかく笑ったこの人は、物騒な仕事なんて似合わなそうなのにと、思いながら話を続ける。
「左京さんのおかげです。あ、そうだ!中でお茶でもどうですか?」
「呑気なやつだな、俺が取り立てに来たとは考えないのか?」
そんなことは全く思いつかなくて…
「なるほど、え?取り立てに来たんですか?」
と、アホみたいに質問し返すと呆れたようにため息をつかれる。
「だって、左京さんもし取り立てが用事なら電話くれそうだし、
もしかして、みんなのことが心配できてくださったとかなのかな…と。朝練はまだ始まる時間じゃないですけど」
「お前は俺を買い被りすぎだ。」
「そんなことないです、左京さんは私にとって信頼における方なので。稽古見ていきますよね?だいぶ成長したと思いますよ!
雄三さんが殺陣の稽古をみんなにつけてくれてて、咲も真澄くんのおかげで大分立ち回りうまくなったし、至さんも綴くんもシトロンくんも役に直向きで、かっこよくて!」
ついつい熱弁してしまったことに気づいて、トーンをさげる。
「すみません、朝からうるさくて…」
「いや、…いい。」
「上がっていきますよね?」
「しつこい奴だな、…わかった。迫田が来るまで、だ。」
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無理矢理中に招きいれ、コーヒーを入れる。
「それにしても、大分朝もはやいですけど…」
時計はもうすぐ朝の6時をさそうとしていて。
「朝早くからお仕事お疲れ様です」
「褒められた仕事ではないがな、お前こそ朝早くから掃除なんて精が出るな。」
「えへへ、はい!今日はいつもより早く目が冴えちゃって。左京さんに会えたので三文の徳ですね。」
冗談混じりににっこり笑っていったのに、黙ってしまった左京さん。
その前にコトッと客人用のカップを置く。
「……変な奴だな、お前は。」
「そうですか?あ、でもこのコーヒーは自信ありますよ!みんなに好評なんで。」
「そうか。」
「左京さん、まずは春ですけど…いづみちゃんとみんながいる限り、絶対ここは守ってみせます。左京さんの代わりに!
私は何もできなくて、無責任かもしれないけど…」
「あぁ。」