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3月9日  【A3】

第7章 豆桜


 「あれ?左京さん、おはようございます」

 朝早くカンパニー前の掃除をしていると、綺麗な金髪が目に入る。

 「あぁ、おはよう。元気そうだな」

 柔らかく笑ったこの人は、物騒な仕事なんて似合わなそうなのにと、思いながら話を続ける。

 「左京さんのおかげです。あ、そうだ!中でお茶でもどうですか?」
 「呑気なやつだな、俺が取り立てに来たとは考えないのか?」

 そんなことは全く思いつかなくて…

 「なるほど、え?取り立てに来たんですか?」

 と、アホみたいに質問し返すと呆れたようにため息をつかれる。

 「だって、左京さんもし取り立てが用事なら電話くれそうだし、
もしかして、みんなのことが心配できてくださったとかなのかな…と。朝練はまだ始まる時間じゃないですけど」
 「お前は俺を買い被りすぎだ。」
 「そんなことないです、左京さんは私にとって信頼における方なので。稽古見ていきますよね?だいぶ成長したと思いますよ!
 雄三さんが殺陣の稽古をみんなにつけてくれてて、咲も真澄くんのおかげで大分立ち回りうまくなったし、至さんも綴くんもシトロンくんも役に直向きで、かっこよくて!」

 ついつい熱弁してしまったことに気づいて、トーンをさげる。

 「すみません、朝からうるさくて…」
 「いや、…いい。」
 「上がっていきますよね?」
 「しつこい奴だな、…わかった。迫田が来るまで、だ。」


ーーーー
ーー

 無理矢理中に招きいれ、コーヒーを入れる。

 「それにしても、大分朝もはやいですけど…」

 時計はもうすぐ朝の6時をさそうとしていて。

 「朝早くからお仕事お疲れ様です」
 「褒められた仕事ではないがな、お前こそ朝早くから掃除なんて精が出るな。」
 「えへへ、はい!今日はいつもより早く目が冴えちゃって。左京さんに会えたので三文の徳ですね。」

 冗談混じりににっこり笑っていったのに、黙ってしまった左京さん。
 その前にコトッと客人用のカップを置く。

 「……変な奴だな、お前は。」
 「そうですか?あ、でもこのコーヒーは自信ありますよ!みんなに好評なんで。」
 「そうか。」
 「左京さん、まずは春ですけど…いづみちゃんとみんながいる限り、絶対ここは守ってみせます。左京さんの代わりに!
 私は何もできなくて、無責任かもしれないけど…」
 「あぁ。」
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