第5章 *LIB ナイトメア・ビフォア・クリスマス*
『....』
スカリー『深くは聞きません。ですが、我輩の言葉が貴女の心を曇らせてしまったのは事実。心より謝罪いたします。
本当に、申し訳ありません』
懺悔の言葉が頭の上から降り注ぐ。その言葉に嘘はないと震える声色がそれを証明し、は静かに口を開いて語りだす
『...あのね。私、ずっと1人だったの。周りに人はいたけど、その人たちは私に痛いこととか苦しいことをしてきて、誰も助けてくれなかった。ううん..助けてくれる人なんて一人もいなかった。いたのは私を傷つける人だけ..
ずっと、ずっとそうやって生きてきた』
抱きしめる手に力が入り、顔を見ずとも同情してくれていることに苦笑いを浮かべ、一番伝えたかった思いを告げる
『本当の一人ぼっちって、凄く怖いんだよ。ハロウィンが終わったらいつも通り、じゃないの。毎日毎日寂しさと痛いことに耐えて、終わんない苦しみに泣くことなの。
だから、だからね...カボチャさん、一人ぼっちになったらダメだよ。
静かなのも暗いのも、やじゃないけど..一人だけはダメ。カボチャさんも、みんなと一緒にいよ?』
スカリー『みんなと..』
『みんなと出会って、一人じゃなくなった今は凄く楽しい。美味しいお菓子も、キラキラな飾りも、綺麗な音楽も、全部全部初めてで、とてもドキドキした。
ハロウィンって、そのドキドキがいっぱい集まってるの。みんなでワイワイして、ゴーストさんたちとお喋りする。きっと凄く、凄く楽しいよ。
カボチャさんにも、そんなハロウィンを一緒に楽しんでほしい。ハロウィンは楽しいものだって、感じてほしい』
細い腰に手を回し、まとまらない言葉を紡ぎながら必死に彼に届けようとする。なにか1つでも彼の心を動かせたなら、と頭を働かせるがそれ以上の言葉は出てこなかった
『ごめん。私、こういうこと下手だから、色んなことをバラバラで言っちゃうの。分かんない、よね..』
スカリー『....いいえ。貴女の思いはこの胸にしかと響いております。我輩のためにこんなにも必死に言葉を尽くして導こうとしてくださる。その小さな体に伸し掛かる重みを思い出してまで..』