第5章 *LIB ナイトメア・ビフォア・クリスマス*
ーー月の輝く丘
町から飛び出し必死でスカリーを追いかけて走る。辺りを見回しながら進んでいると、あの特徴的な渦を巻いた丘の近くに、フラフラと歩く長い影を見つけた
『カボチャさん..!』
静かすぎる丘にその声はよく通り、スカリーはその場で足を止めると、こちらを振り返り驚いた様子で小さく声を漏らした
スカリー『え..?あ、さん?どうしてここに..』
『はぁっ、はぁっ..私が寝ちゃってる間に、カボチャさんが一人で町から出ていったって』
スカリー『出ていった..?我輩はただ、ロック様たちをお手伝いしようと、御三方の住む家に向かっていただけですが..』
『ん、知ってる。でもそうじゃないの。私、カボチャさんのことが心配で..
ユウから聞いたの。ガイコツさんに、カボチャさんの好きなハロウィンをダメって言われて、それでカボチャさんがフラフラしてたって。その前からもカボチャさん、元気がない感じがして..ずっと心配してた』
スカリー『....そう、だったのですね。まさか、それだけの理由でここまで追いかけてくださったのですか?』
その問いに頷くと、スカリーは目頭がじわりと熱くなり、体の奥からせり上がる様々な感情が複雑に絡み合い、今にも爆発してしまいそうになった
スカリー『本当に..本当に貴女は素敵な方ですね。ここまで我輩を案じて、更に皆様から離れてここまで来てくださるなんて..
優しい方。どうか、その優しさに甘えてしまう我輩をお許しください』
許しを請いながら、スカリーは小さな体を抱き寄せると、その長い腕で強く抱き込んだ。身長差がありすぎるため、の顔は彼の腹に埋まり、頭の上の耳には彼の早まる鼓動が振動と共に伝わってくる
『カボチャさん..』
スカリー『さん。先程の広場でのことですが..我輩は貴女に謝らなくてはいけません。
ハロウィンとは孤独の中の恐怖に一人耐えること。それが尊く正しいものだと..ですが、貴女のあのお言葉は我輩が思っているよりも重く、苦しく、貴女をずっと苛む呪いのようなものなのでしょう』