第5章 *LIB ナイトメア・ビフォア・クリスマス*
『ユウ。カボチャさんがいないけど、どうしたの?』
ユウ『カボチャ..ああ、スカリーくんね。彼なら、あの悪ガキ3人組のところに行ってあの子達を手伝うって、ちょっと前に一人で町の外に向かってったよ』
『?なんで、いきなりそんなこと..』
ユウ『分かんない。でもまあ、あの状態でここに居続けるのもね..』
『何かあったの?』
ユウ『うん、実は..』
ユウ曰く、が眠っている間、スカリーは改めて伝統的な静かで厳かなハロウィンがやはり良いと提示したのだが、ジャックはそれを"つまらない"、"意味がない"とバッサリと切り捨て、楽しくみんなで盛り上がるハロウィンにしよう、と考えを変えることはなかった
こちらとしてはそれで問題なかったのだが、自分の信じてきたハロウィンを三度に渡って否定されてしまい、スカリーはすっかり意気消沈してフラフラの足取りで町の外へ向かっていったのだと言う
その姿があまりにも痛々しかったため、少し不安だったんだと思いをこぼすと、の胸に一抹の不安が募る
1日目に意見が食い違い、最終的にジャックの判断でこちらのハロウィンが採用された時から、彼に対してどこか心配はしていた。だが、今のユウの話を聞いてその心配はもはや見逃せないレベルにまで上がり、はこのままではだめだとすぐにユウから離れた
ユウ『どうしたの?』
『私、行かないと..カボチャさんのところに』
ユウ『今から?まあ、出ていったのはわりと遅くないから、町からそんなに離れてないだろうけど..そこまでして心配しなくても』
『...でもカボチャさん、泣いてた。自分の好きなことを好きな人にダメって言われるの、ほんとにつらいことだと思う。私、カボチャさんには笑ってハロウィンを楽しんでほしいから、だから...行かないと』
ユウ『....はぁ。ほんと、どこまでも優しいんだから。
分かったよ。先輩たちには僕から言っておくから。その代わり、出来るだけ早く戻っておいで。僕もみんなも心配するから』
『ありがと、ユウ』
感謝の気持ちに軽く頬にキスを落とすと、レオナから借りたコートを預け、スカリーの去って行った町の外へと走り出した
ユウ『あーあ。僕ってば、本当にあの子に甘いなぁ...』