第5章 *LIB ナイトメア・ビフォア・クリスマス*
『ん?なに?』
レオナ『これやるから着とけ。体を冷やすな』
ズイッと差し出されたのはレオナが着ていたロングコートだった。単純に寒さを心配してくれたのか、慰めのつもりなのか、真意は分からなかったが、今のにはその深入りしない彼の優しさが何よりも嬉しかった
『ありがと。後で返すね』
少し重めのそれを腕は通さず肩だけ羽織ると、なにか言いたげなスカリーの横を通り抜け、謎の液体を吐き出すトカゲの噴水に腰掛けた
『(レオさんの匂い..落ち着く)』
小さな体をすっぽりと覆うコートは、まるで彼に抱きしめられているような感覚を与え、手繰り寄せてふわっと香る匂いが沈んだ心を優しく溶かしていく気がした
『後で、みんなにもう一回ちゃんとごめんなさい、しないと..』
スカリー『(ロック様に髪を切られそうになったあの時とはまた違う。あんな弱々しいお姿を見せるなんて..我輩は何か失礼なことを口走ってしまったのでしょうか..?)』
ユウ『。起きて』
『...ん?』
ゆさゆさ体を揺らされ、は目を覚ました。いつの間にか眠ってしまったのか、ふわふわした頭を上げると少し首の後ろが痛んだ
『ん"ん〜..』
ユウ『変な体勢で寝ちゃったからね。気分はどう?少しは落ち着いた?』
『ん。ちょっと楽になった。ユウ、さっきはごめんね。私またみんなに迷惑かけて..』
ユウ『何が迷惑なの?の気持ちは全部分かる、なんて言えないけど、少なくともここの中では一番分かってるつもり。だからこそ何度でも言うよ。
全然迷惑なんかじゃない。君はもっと自分の思いを曝け出していいんだよ』
優しく握られる手の温もりがじわりと冷たい手に染み込んでいく。いつだって自分の欲しい言葉をくれるユウに愛おしさが溢れ、そっと抱きつくと強く抱きしめ返される
『大好き、ユウ』
ユウ『僕もだよ』
ぐりぐりと額を擦り甘えていると、ふとユウの肩越しから見えるレオナたちの輪の中にスカリーがいないことに気がついた