第5章 *LIB ナイトメア・ビフォア・クリスマス*
『あわわ、どうしよ..えと、えと..ぁ』
目の前で涙ぐむ姿にオロオロしながらも、ポケットにあるものが入っていることに気づき、それを取り出すとスカリーに近づき手を伸ばした
スカリー『さん?』
『カボチャさん、ちょっとちっちゃくなって』
届かないから、と背伸びするに、素直に応じて腰を屈めると、真っ黒な生地に満月が刺繍された上質なハンカチがサングラスの横から目元を優しく拭った
『大好きな人と離れるのってやだよね。その気持ち、私もよく分かる。でもまたすぐに会えるから..泣かないで、ね?』
スカリー『さん...なんと、なんとお優しい人なんでしょう。これはまるで、女神か天使の施しのようで..ああ、感激のあまりまた涙が..』
『え、ど、どうしよ。ぁぅぅ〜..泣かないで』
レオナ『放っとけ。その内いつもみたいにケロッと戻る』
音楽家達を探しに行くと言って町の奥へと出かけていった町長を待っている間、レオナの言う通りスカリーの調子はすぐに戻っていた
スカリー『ユウさん、さん、グリムさんとは、なにかとご縁がございますね。共に励みましょう。よろしくお願いいたします』
腰を折ってお辞儀する様に嫌な予感がしたグリムはサッと横に飛び退くと、同時にスカリーの体が迫ってきて危うくまたキスをされそうになった
グリム『にゃっはっは。そう何度もチューされるオレ様じゃねーんだゾ』
勝った。そう思ったグリムだったが、長い足で一気に距離を詰められ、結局炎揺らめく耳にキスを落とされた
グリム『ふな〜っ!今度は耳にチューしてきやがった!』
ユウ『ほんと、情熱的っていうかキザっていうか』
スカリー『素敵な方々に礼を尽くすのは、紳士として当然のことでございます。レオナさんもそう思われるでしょう?』
レオナ『まったく思わねぇな』
グリム『レオナに紳士とか言ったって無駄に決まってんだゾ。にゃははっ』
レオナ『ああ?今なんつった毛玉』
『グリム。しんし..っていうのは分かんないけど、レオさんは凄く優しい人だよ』
スカリー『ええ、ええ。そうでしょうとも。確かに態度や物言いはいささか、その、あれでございますが..』
ユウ『あれだなぁ..』
レオナ『あれってなんだ』