第4章 *グロリアスマスカレード*
3人の歌のサプライズに興奮冷めやらぬまま、会場では舞踏会の名の通り、ダンスパーティーが始まった。ロロによる身バレもあり、NRCの生徒たちの周りには人が集まり、特にマレウス・アズール・イデアの元には人だかりが出来ていた
仮面をつけて互いの素性も分からず談笑したり踊ったりと、賑やかで楽しげな声に満ちていく会場の隅で、はその笑顔をぼんやりと見つめていた
『みんな楽しそう』
?『失礼、そこのお嬢さん』
背後からの声に振り向くと華やかな装いの知らない男が一礼して近づいてくる。ぼんやりしていたため反応が遅れ、あっという間に男は目の前に立っていた
『ぇ..』
?『先程入ってきた時から気になっていました。どうか、僕と踊っていただけないでしょうか?』
『あの..えっと』
?『もしかして初めてですか?安心してください、僕がリードを、』
『ゃ..』
後退りするとぬっと伸びてきた手が腕を掴もうとし、途端に恐怖が駆け上がり身を縮こませる
ユウ『すみませんが、この子は僕のパートナーなので..お引取りを』
後ろから優しく片腕に抱きしめられ、聞き覚えのある声に振り向くと冷たい瞳をしたユウが目の前の男を睨みつけていた
?『そ、そうでしたか、すみません!!』
静かながらに迫力のある表情に男は尻尾を巻いて逃げるように人混みに消えていった
ユウ『大丈夫!?ごめんね、僕がちょっと目を離したから』
『私こそごめん。ありがと、助けてくれて』
ユウ『..ねぇ、まだ誰とも踊ってない?』
『?ん』
ユウ『じゃあ..僕と踊っていただけますか?可愛いお姫様』
恭しく一礼して手を差し出すと、きょとんとした後に小さく笑い声が漏れ、差し出した手の上に一回り小さな手が乗せられた
『んふふ、喜んで』
ユウ『ホント!?よ、良かったぁ..僕ね、最初のダンスの相手は絶対にが良いって思ってたんだ。だから、今すっごく嬉しい』
『んふふ、私も』
互いに笑い合うと、しっかり手を繋いで目の前のダンスの輪に加わりステップを踏み始めた