第4章 *グロリアスマスカレード*
マレウス『怪物、か..それはお前もだろう。執念だけで僕をここまで手こずらせるとはな。フランムよ、その気概だけは褒めてやる。
まだ戦うつもりだというのならば、相手になるぞ』
ロロ『ま、待て!分かった、認めよう!私の、負けだ。望み通り、救いの鐘を鳴らすがいい』
マレウス『言われなくともそのつもりだ。間もなく夜明け。救いの鐘を撞き、紅蓮の花を駆除しなければ。お前の処遇は後で考えることにしよう』
ロロ『ああ..分かったよ
..お前が本物の間抜けだということがなあ!
油断したな、マレウス!私に背中を見せるとは!焼き尽くしてやろう!』
マレウス『!』
真っ直ぐに救いの鐘へと向かうマレウスの背後から、ロロは杖を残された魔力で杖を振る。"くすぶる欲望"の炎が一気にマレウスを取り囲み、その身を包んだ
『『マレウスさん!/マレウス氏!』』
マレウス『愚か者が..』
カツンとヒールの音が鳴る。アズールたちが激しい不安に駆られながら炎の中のマレウスを探すと、ユラリと揺らめく人影が炎の中を悠然と歩んでいた
マレウス『僕の名前はマレウス・ドラコニア。この僕が、炎などを恐れると思ったか?』
ロロ『な、な..なにぃ!?』
イデア『恐怖を糧にする炎の中を..平然と、歩いている..』
アズール『あれが..茨の谷の、次期当主..!』
疲労困憊の中、炎の中を恐怖もなしに進むという普通の人間には到底出来ない事を平然としてしまうマレウスに、二人は改めて目の前の男の存在が自分たちとは全く違うものだと痛感させられた
マレウス『さあ、この災厄を終わらせよう』
ロロ『やめろ..頼む、やめてくれ!』
マレウス『はぁっ!』
ロロ『やめろぉぉぉぉ!!』
ゴーン、ゴーン、と荘厳で温かな鐘の音が街中に響き渡る。それはまるで街を優しく抱きしめるようで、その音に乗って広がる魔力が花を枯らし、火の海は徐々に消え失せていく
あれだけ煌々と明るく、逃げ惑う人々の悲鳴が響いていた街は、ようやく静かで深い夜の色を取り戻していった