第3章 *アリアーブ・ナーリヤ*
ジャミル『花火が打ち上げられない..!?一体何が無くなったんですか!』
マレウス『打ち上げ方法が記された、秘伝の書物か?』
ケイト『すっごく年代物の火打ち石とかじゃない?』
トレイ『それか..先祖代々、花火師の家系に受け継がれるお守りとかですか?』
?『違う違う!無くなったのは、USBメモリーじゃ!』
『『『USB?』』』
?『あのUSBには、花火を打ち上げるためのプログラムデータが入っとる!』
ユウ『てっきり書物系だと思ったらUSBなんだ..』
?『USBがないと、今日の花火大会をすることは不可能じゃ!』
カリム『えーっ!?マズイぜ、それは!!!』
花火大会が出来なくなると聞いて焦るカリムたち。すると、その周りで歩いていた観光客たちの中からも、財布やブレスレットがなくなったとざわつき始める声が聞こえてきた
マレウス『周りにいる人々も、物がなくなったと騒いでいるぞ』
ジャミル『どうやらこの近くにスリがいる。それも凄腕のやつが..』
『...ん?』
突如の耳に聞きなれない音と微かに感じる悪意が流れ込み、それが隣のユウの足元からしていることに気づく
チラッと下を向くと、小さな猿がユウへと手を伸ばしていた
『ユウ!!』
ユウ『えっ!?なに!?』
猿『ヴギッ!!』
驚くユウに当たらないように魔法を放つと、バシュッ!と猿に直撃し、攻撃を食らった猿は後方へと飛ばされた
グリム『あっ!さっきオレ様を馬鹿にしやがった猿!』
『ユウのスマホ狙ってた..』
マレウス『どうやら、あの猿が盗みを働いていた犯人で間違いないようだ』
猿『ウキキー!』
すると猿は踵を返すと一目散に逃げ出した
カリム『あっ!逃げた!』
マレウス『楽しい旅行を台無しにされてはかなわない。僕が魔法で行く手を阻んでやろう』
マレウスの翳した手のひらにキラキラと魔力が集まっていく。だが明らかに必要以上に溜まる魔力量に、一同は焦りを見せた
ケイト『ちょっと待って!何するつもり?なんかすっごい魔力が集まってきてるんだけど!マレウスくんが魔法を使って、もし一般の人が怪我でもしたら、国際問題になっちゃうよ』
マレウス『ふむ..ではどうする』