第9章 Under the weather
「ねえ、今日の学校どうしたの?」
料理をしている背中に声をかける。
急に休講になった、とかそんな感じの理由かと思っていたのだが、返ってきたの意外な返事。
「あー…フケた。」
「は!?なんで!!?」
「今日の授業座学ばっかだしな。それより一人暮らしで体調崩した相棒の様子見に来る方が大事でしょ。」
野垂れ死なれても困るし、と笑いを僅かに含んだ声。
嬉しい。そんなふうに心配して貰えたことが嬉しくて自然と顔がにやけてきてしまう。
バレないように、ひざ掛け代わりにしていたタオルケットに顔を埋めた。
「たまご粥作ったんだけど食えそう?」
勝手に皿出したごめん、と言いながら湯気の立つお椀が目の前に置かれる。
ふわりとお出汁の香りが鼻に抜けて、ぐうとお腹がなった。
「ありがとう!美味しそう、いただきます。」
三ツ谷くんお手製のたまご粥は文句の付けようがなく、空腹を訴えていた私の胃を優しく満たしてくれる。
「野垂れ死にはしないけど食料何にもなくて餓死するかと思った、本当にありがとう。」
「調味料借りようと思って冷蔵庫開けたら牛乳しか入ってなくて笑ったワ」
お粥まで作ってくれたのにお茶すら出せなくてごめん、と言うと体調悪いやつがそんなこと気にすんなと再び笑われてしまった。