第8章 Joint work
閉門5分前のアナウンスが響く。
あの後はほぼ会話もなく各々作業をしていたのだが、私はさっきの三ツ谷くんの言葉が頭の中で反響して作業効率がえらく落ちてしまった。
なんとか今日中にデータを完成させただけ良しとする。
誰にでもこんなことしない、言い換えると私は三ツ谷くんにとっての特別な存在ということになる。ペアなのだから特別といえば特別なのだが…。
そもそもの話、三ツ谷くんは彼女とかいるんだろうか。こうして私に付き合ってくれているってことはいないと考えるのが自然…いやでもあまり束縛しないタイプの彼女ならもしかして気にしないのかもしれない。
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「さんさあ、もっとオレに作業振っていいよ。」
「え?」
「今キャパギリギリでしょ。パソコンは手伝えないけど、普通の作業ならさんほどじゃないけどオレもそれなりに出来るし。」
「2人の課題だって言ってたのさんだろ?1人で抱えなくていいんだぜ。」
やばい、路上だというのに目頭が熱くなってくる。
自分でも気づかなかったが思っていた以上に背負い込みすぎていたみたいだ。
今日が雨でよかった。
三ツ谷くんから見えないように傘で顔を隠して、ありがとう、と小さく呟いた。
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Joint work/共同作業