第6章 言われなくてもそうするよ◉心操人使
「あぁっ、!だ、め・・っ」
わざとらしく音を響かせたその指はいつもの彼からは想像できないほど意地悪で
「俺が時間を作れた時は、それがどんなに急でも
出来る限り俺を・・優先して、欲しい」
甘く囁かれた声が口付けに溶ける
強い刺激に朦朧とする中、どうにか焦点を定めて彼を睨むとその顔が満足げに笑って
ばらばらと動かされた指は私の反応を楽しむように、もっと意地悪になった
「やっ、あぁ・・!ああっ」
「自分勝手で格好悪い、これが俺の本音」
クールでもないし優しくもないだろ、苦しそうに熱い息を吐いた彼が私を見つめる
押し寄せる快感の波に必死に耐えながら、私は震える手で彼の服を掴んだ
「心、操くんは、すごく優しいし・・!
格好いいも、ん」
「は・・?、話聞いてなかったのかよ・・」
眉を寄せた彼が呆れて呟くと一段と激しくなったその指先
おかしくなりそうな程気持ちよくて目の前がチカチカする
「んぁ、ああ・・っ!」
「俺の”貴重な願い事”、じゃあもう一つ、だけ」
「はぁっ、何で、も・・っ」
限界が近いと知らせる感覚が全身を巡って
爪先に力を込めた瞬間、呆気なく離れたその熱
泣きたくなる程の物足りなさに悶える私を見つめると、彼はベルトに手を掛けた
「・・挿れて、って言って」
優しくなんかしないけど叶えてよ、
切なく揺れた瞳が私を睨んで
余裕の無いその声に身体の奥がはしたなく疼く
でも、やっぱり
「なぁ、返事、は」
少し不安気に私の答えを待つ彼は、どう見たって
「・・優しい、なぁ」
視線を絡ませ微笑むと彼はまた呆れて大きな溜息を吐いた
「好きだから、大事にしたいだけ」
「ふふ、ほらね、」
「・・もう全然、話にならない」
途中で嫌がっても絶対辞めないから、
そう言って覆い被さった彼が荒く口付けながら片手でベルトを外す
「俺が優しいかどうか、ちゃんと見てなよ」
らしく無いそんな言葉を吐いて
苛ついたように眉間に皺を寄せても、隠せない
体重を掛けないよう私を気遣う腕が、滲んだ視界の端に変わらず映っているから
「とびきり優しく、してね」
舌先を触れ合わせてそう呟くと、耳まで赤くなった彼はわざとらしく私の唇に噛み付いた