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《ヒロアカ短編集》角砂糖にくちびる

第23章 鳥かごは無色透明《前編》 ◉鷹見啓悟※



「オレも撮られンのよ、タチ悪ィよなここの記者!」

長年の恋人、とか何の根拠があって書いてんだろなァ、やれやれと息を吐いたマイク先生が慰めるように私の肩を叩く
横に座る相澤先生は面倒臭そうに顔を顰めたままだ



「大変だったんじゃねェの、会長サマの機嫌取んの」

サングラスをずらしにやりと笑ったその顔はまるで悪戯っ子のようで、声を枯らし乱れた夜を思い出してしまった私は首元が見えないように髪を整えた


「大丈夫でした、よ・・!」

「オレならまだしもコイツだもんなァ」

茶化すように両手を上げたマイク先生の椅子を、ガンッと相澤先生が思い切り蹴る
お前一限あんだろ、苦々しく放たれた言葉にひらひらと手を振るとマイク先生は教材片手に職員室を出て行った





なんとなく気まずい雰囲気にデスクに戻った私を、斜め向かいから温度の見えない視線がじっと見つめている



「・・迷惑かけて、悪かった」


「へ!?いや、そんな!私こそすみません!」

人の減った職員室、早く教材を纏めて保健室へ戻ろう、あわあわと手元を動かすと目の前の影が立ち上がる気配がして

変わらず感じるその視線から逃れるように、私は意識的に書類の束を見つめた




「仲違い、しなかったか」



「え!?あ、はい、大丈夫です・・っ」


「・・そうか、残念だ」


一瞬止まった空気、あまりの驚きに思わず顔を上げると射抜くようなその目に囚われる、微かに上がった口元が捕縛布に隠れて





———外堀埋めて貴女の気を引くつもりかもしれん、



自分の顔がどんどん熱くなっていくのがわかる、
そんな、まさか、きっと揶揄われているのだ、私は何を、



「せ、せんせそれは」


「なんだ、聞きたいのか」

隙を見せるなくらいの事は言われただろう、呆れたように溜息を吐いた相澤先生はまるで生徒の進路相談にでも乗っているような雰囲気だ



「じょ、うだん珍しいです、ね」


「・・記者が居るのは分かってた、と言ったら」


「そんなわ、け・・っ」

ゆらりとデスクに手を掛けた相澤先生が、覗き込むように私に目線を合わせる
逸らせなくなった目、心の奥まで見抜かれるような視線にバクバクと鳴る心臓の音が頭の中を満たしていく





「詳しく聞きたければいつでも」

「・・っ、」


「”長年”の話をするよ」
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