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《ヒロアカ短編集》角砂糖にくちびる

第23章 鳥かごは無色透明《前編》 ◉鷹見啓悟※



「これ、私じゃないかもよ、?」


「・・貴女が・・シラを切るなんて・・」

「違う違う・・っ、小さくて見えないし、!」

うーーーん、考えられるとすれば、先日の行事の際に備品の買い出しに行った時だろうか、
買い物袋を受け渡しているモノクロ写真の下には「恋人を気遣い荷物を持つイレイザーヘッド」という一文が記載されていて、私はまた大きく吹き出した



「こんな写真撮らせるなんて!ありえん!」

火のない所に煙は立たんもん、恨めしく呟いた彼がまたテーブルに額を打ちつけるとカップの中で紅茶が波立った


「よく見つけたね、こんな小さい記事」

「早く安心させて下さいよ、泣きますよ」

伸ばされた手が私の指先を絡めとると、痛いほど強く握られた手から伝わる彼の不安
もう片方の手でそっとカップを勧めると彼は拗ねたように目線を落としたままそれをひと口含んだ








「・・火のない所に煙は立たない、かぁ」

軽く溜息をついた私はそっと誌面に手を伸ばす
パタリと閉じた表紙に大きく書かれているのは
【ホークス新恋人!】の文字、二枚ほどページを捲ればすぐに現れた見開きの記事は今週一番のニュースに違いない



「安心させてくれないと、泣いちゃおうかな」

お相手は今話題のあの女優、視線を落として文字を指でなぞると大きく目を見開いた彼が音を立てて立ち上がった


「こんなガセ貴女が信じるはずなか!」

「・・速すぎる男は女性も取っ替え引っ替え、だって」

私もすぐに捨てられちゃうのかな、態とらしく滲ませた悲哀に彼が絶望の表情を浮かべて、私は何だか申し訳なくなった


「何もないに決まっとろうが!」

「でも、火のない所に煙は立たないんだよね?」


「・・っ、頼む、信じて」

あまりの必死な表情に思わず笑みがこぼれて、私は彼の指を絡めとる
ほっとした筈のその顔はいつものようには晴れていなくて、恨めしそうに誌面を睨み付ける目が彼の怒りを物語っていた


「潰していいですか、この出版社」

「だ、だめ」

私ここの出してる雑誌読んでるから、口からそんな出まかせを言ってしまうほど彼の声色は真剣さを含んでいる
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