第22章 あなたの青に触れさせて《後編》◉鷹見啓悟※
全てのビルを見下ろす優越感、開け放した窓から入った風を煩わしそうに塞いだ背中に言葉を投げる
「えー?そんなこともできんと?」
「はぁー・・何言ってるんだ貴方は、増設に幾ら掛かると思ってるんだ公安を潰す気ですか・・」
そもそも貴方の拘りでこんなに高層にしたのに今更何を言い出すかと思えば、床を見つめてぶつぶつと小声になっていく後半は聞かせるつもりなど無いんだろう
「またこないだみたいに彼女が」
「呼ばなければいい話でしょうあの案件は無事に片付いたはずだ全く公私混同甚だしい・・あぁ眠たい・・」
「あー・・・、じゃあ降りますわ」
あとは頼みます、目良”新”会長、
ひらりと手を振りエレベーターのボタンを押すと背後に聞こえたのはこの世で一番長い溜息
この長さなら大丈夫だ、貰ったな、
「全く貴方って人は・・・・・善処しましょう」
「さっすが、話が早いね」
「・・お気をつけて」
車を降りると目の前に広がる広大な敷地、象徴的な門をくぐった先に立ちはだかる馬鹿でかい校舎を見上げる
「お邪魔しまーす」
足を速めれば自然と深まる笑み、いつもより一時間早く到着したのはもちろん、
「会いたかった、俺のめぐちゃん」
「わっ、予定より早く着いたの?」
連絡くれればよかったのに、華奢な背中を抱き締めれば白衣から香る消毒液の匂い、擽ったそうに身を捩る彼女を腕に閉じ込める
「誰消毒したと?男?」
「もう、学校でこういうのは・・っ」
「俺学校とか全然分かんね」
縁が無くて、髪に唇を寄せ身体に手を這わせると、真っ赤になった彼女が思い切り俺を睨む
「公私混同する奴もおるけん」
閉じ込める腕に力を込めると、困ったように笑った彼女が眉を下げて俺を見上げた
「もう、絶対勘違いなのに」
「勘違いやなか」
相澤先生に失礼でしょ、なーんも知らん彼女の呑気な笑顔に溜息を吐く
毎日顔を合わせているにも拘らず強引に迫らないあの人は流石教師と言ったところか、俺なら絶対に耐えられん
「啓悟くん愛してる、どーぞ」
「ふふ、啓悟くん、あいしてる」
「啓悟くんが居れば何も要らない、ハイ」
「啓悟くんのパジャマ、買ってあるよ」
不意打ちに硬直した身体、間抜けに開いた口を片手で隠すと熱くなった頬に彼女が口付けた