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《ヒロアカ短編集》角砂糖にくちびる

第21章 あなたの青に触れさせて《前編》◉鷹見啓悟



「・・先生そろそろ起きて下さいね、ってホークス?」


「おかえりなさい、薬師さん」

開いたドアへ通り抜けた風に白衣の裾がひらりと揺れる、ああ逢いたかった、この瞬間のために面倒事をどれだけ片付けたか

驚きに一瞬大きく開いた目が優しく細められて、俺を映している
ふわりと香った花、頭が痺れていくのがひどく心地いい




「根津校長との定期面談ですか?」

おつかれさまです、微笑んだ彼女が軽く頭を下げるとさらりと流れた髪、耳に掛ける細い指先に心臓が音を立てる

貴女に逢いたくて、何度もシミュレーションしたその言葉はやっぱり今日も出ては来ないが
能ある鷹はなんとやらだ、落ち込む必要はない



「相澤先生、そろそろ会議の時間ですよ」

よく眠れましたか?、微笑んだ彼女がイレイザーに缶コーヒーを手渡す
顰めかけた眉をギリギリ制している俺を、温度の無い視線が満足げに捉えた


「ああ、いつも悪いな」

「ちゃんと休んでくださいね」

ゼリーばっかりじゃダメですよ、口を尖らせた彼女が見上げるとイレイザーは表情を隠すように捕縛布を口元まで引き上げた



見とられん、なんあれ白々しか



「いやー!もう夕方なのに忙しいっすねぇ」

頭が下がります、空気を変えるように響かせた声が鮮やかに二人の間を通り抜けて、彼女はハッとしたように俺に椅子を勧めた



「ホークスはコーヒーと紅茶どっちがいいですか?」


知ってます、貴女が紅茶派な事、缶コーヒーと共に去っていく黄色い寝袋に心の中で舌を出す


「紅茶に合うお土産、持ってきました」

コレこないだ食べたいって言ってませんでした?、小さな紙袋が「博多限定」の文字を乗せてゆらゆら揺れる


「買ってきてくれたんですか、うれしい!」

じゃあ一番特別な紅茶にしちゃお、なんて、その愛らしい背中を掻き抱いて閉じ込めて口付けてもう俺だけ見ててと伝えたら貴女は、





「・・とーっても幸せ!」


「え、いいんですか」

「ん?すっごく美味しいです」

甘さを頬張るその顔があまりにも幸せそうで毒気を抜かれる
恥ずかしそうに微笑んだ彼女は俺の前にもひとつ包みを置いた
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