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《ヒロアカ短編集》角砂糖にくちびる

第21章 あなたの青に触れさせて《前編》◉鷹見啓悟



校長室のドアを閉めると同時に響いたチャイムの音、賑やかな声と階段を駆け降りる足音が辺りに響く

青春だねぇ、なんて、1ミリも味わったことのない喧騒に思わず苦笑を漏らして
踏みしめるように足を運んだ先、迷いなく押した来客用エレベーターのボタンが酷く眩しい



また来ちゃいました、貴女に逢いたくて、脳内で何度も行うシミュレーション、鏡でシャツの襟を整えるとちょうど一階を知らせるアナウンスが響いた



能ある鷹はなんとやら、







「アレ?よく会いますね、イレイザーさん」


やっぱり居たか、そう片眉が上がりそうになるのを無理矢理へらりと下げて見せる
カモフラージュのつもりなんだろう、その黄色い寝袋趣味悪いっすよ、
心の中で呟いた声が聞こえているかのように威嚇した視線に、俺は態とらしく両手を上げた



「公安委員会が此処に何の用だ」


此処、とはこの部屋、つまり保健室を指しているのだろう、そしてこんなにストレートな物言いができるという事は、



「居ないんですか?薬師さん」


無視するなと言いたげな圧を躱すように開けた窓、吹き込んだ春の風がベッド横のカーテンを揺らす
薬品の匂いに混じる花の香りを肺いっぱいに吸い込むと、お世辞にも綺麗とは言えない自身の存在が少しだけ浄化されるような思いがした



「うちの保健医に何の用だ」

「そんな怖いカオしないで下さいよ、相澤センセ」

「お前の先生じゃない」


用事なんか無いの分かってるでしょ、ほらやっぱり心の声は聞こえているのだろう、微塵も隠す気のないその嫌悪が清々しい


羨ましい、心底羨ましいですよ貴方が、
これは絶対に聞かせてやるもんかと窓の外に視線を移して
背後で聞こえた大きな溜息に無理矢理口角を上げた瞬間、待ち侘びた声が鼓膜を揺らした
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