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《ヒロアカ短編集》角砂糖にくちびる

第2章 これからもっと好きになる◉轟焦凍



戦闘訓練を終え各々が更衣室へと戻る中
俺はその見慣れた光景に視線を送る

ぶつぶつと喋りながらノートに何かを書き殴っているその友人に声を掛けた


「緑谷、集中してるとこ悪い、」



 一発打ってくれねぇか



この辺りに頼む、と自らの腕を指さすと
緑谷が素っ頓狂な声を上げた


「う、打つ、って何を・・?」

「なんとかスマッシュ、ってやつ」

できるだけ軽めのがいい、そう言って数秒
俺たち二人だけが残されたグラウンドγに緑谷の声が響き渡った


「え、ええ!?何を言ってるんだい轟くん!?」






アイツすげえ顔してたな

当たり前か、と一人苦笑して
少しずつ紫色に変わってきた腕の痣を押さえる


頬には昨日貼られた大きめの絆創膏
それに触れると彼女の姿が思い出されて
少しずつ早まる心臓の音に落ち着かない気持ちになった


「寝る前には剥がして大丈夫だからね」

そう言われたにも拘らず何となくそのままにしているこの気持ちの理由を


今日は確かめに来たつもりだ














私の初めての患者さん・・!
そう嬉しそうに俺を見た彼女がはっと我に返る

「ご、ごめんなさい、不謹慎だね・・」


昨日の演習で頬に軽い切り傷を負い
相澤先生の指示で訪れた保健室

面食らう俺を気まずそうに丸い瞳が見上げた


「医療系の進路希望者がね、
 一週間ずつ交代で実習させてもらってるの」

やっと自分の番が来て嬉しくて、、
バツが悪そうに目を伏せた彼女が記録用の用紙に文字を綴る

「まず消毒するから、ここ座ってね」

そう言って目の前の丸椅子を動かした


「色んな怪我の手当てを学ぶってことか、」

ヒーロー科様様です・・、そう言って申し訳無さそうに頷いた彼女を見つめると胸の辺りがきゅっとなる


「じゃあ、頼む」

「リカバリーガールにちゃんとチェックして
 もらうから安心して」

私が手当てできるのはもちろん軽症だけ、
そう言いながら消毒綿を準備する綺麗な指先に視線を奪われて

温かくて華奢なその手に触れられると少しだけ頬が熱くなった


「精一杯頑張ります!」

「・・ああ」

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