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《ヒロアカ短編集》角砂糖にくちびる

第1章 混じり合うそれに幾つかの◉白雲朧



澄んだ青を吸い込んで大きく息を吐く

今日は今までで一番元気かもしれないな!と
ひとり大きく伸びをしたところで
扉がバンッ、と音を立てて開いた


「よぉひざしィ!昨日はゴメンな!
 めぐから全部聞い・・・ってアレ?」

凄まじい剣幕を纏ったひざしが俺に近づく
その後ろにはいつも通り無表情のショータが見えた


「朧ォ・・どこまでヤったんだお前ェ!」

「え、あ、何のことだか・・」

「めぐの様子が変だっつってんの!
 赤面して逃げまくってんだろ今朝から!」

あとなんかエロい顔になってるしィ!!!
泣き叫んだひざしが更に大きく息を吸いこむとショータの髪が逆立った


「やめろ、うるさい」

「お前は悔しくないのか!?
 めぐの貞操が、コイツに・・!」

「本望だろ、それにどうでもいい」







舌を絡ませると蕩けた紅い顔

俺の手が触れる度にその身体が跳ねて

肌蹴たシャツの下で手に掛けた肩紐も
それを下ろして触れた柔らかさも

「も、これ以上は、だめ・・っ」

涙を浮かべた大きな瞳も
初めて聞いた甘い声も







「な、んも、してねェよ・・」

必死に取り繕いながら、ボッと音を立てて熱が集まった顔を背けた

「今思い出してたろ!?
 完っ全に有罪の顔だ、なぁ相澤ァ!」

「俺は寝る」



思い出すと色々、まずい



「・・ショータ、寝るならコレ!」

指を弾いて、その身体と床との間に小さな雲を滑り込ませるとショータが目を見開いた


「いいな、これ」

「快適だろ?
 昨日めぐが背中痛いって言っててさ!」

刺激の強すぎる記憶を何とか振り払い、無理矢理笑った俺を真顔の二人が凝視した



「・・背中が」

「痛いってェ?」



やべ、思わずそう口走り
熱くなった顔から汗がひとつ流れる

今日こんなに暑かったっけ、なんてどうでもいいことに思いを馳せて



「殴っていいぞ、山田」

寝るから静かにやれよ、
そう言ったショータが目を閉じたのと
ひざしがサングラスを外したのは同時だった


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