第9章 未来から来た女 頼朝side
変わった女は義経と面識があった
いつどこであったのかは分からないが
そこまで親しい様子ではなかった
狐を手放せば助かるというのに
見捨てることが出来ないと
謎の光に包まれた
再び姿を現すと
隣には耳としっぽを話した男
おそらくあの小狐だろう
女の方は髪と目の色が
変化しており
何があったのか
問いただすも
自身も混乱していた
どうやら契りとやらを
交わしたらしい
好都合だ
幕府が雇って
狐諸共使役してやる
そう提案すると
ずっと疑問だったことを
重衡が問う
──何故か丸く蹲った
未来から来た女
あやかしに無理やり飛ばされたらしい
(不運すぎるだろ)
さすがに同情をしない訳にも
いかず戦までは好きにさせてやろうと
思っていたのに
あろうことか仕事をくれと
懇願してくる
(変な女だな)
そう思いつつも
傍に置いたら退屈しないだろうと
思い側仕えとして雇ってやった
それだけだったのに──
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あやかしに襲われる体質…か
本当にこいつついてねぇ女だな
傍におく分では問題ない
あやかしなんて見なれたもんだ
自分ではなく俺の身を
心配するお人好しに
少しずつ興味が湧いた