第9章 未来から来た女 頼朝side
義経が生きていた
不思議な能力を使い
地獄から這い上がってきた
そうとなれば
何度でもお前を殺すだけだ
武士の世を安泰させるために
*☼*―――――*☼*―――――
「うーん、最後の手ですけど
玉藻の封印をときましょうか」
「玉藻?」
「ええ、那須の大岩に封印されている
九尾の狐ですよ」
「狐を使って幕府は対抗するという
ことですか」
「危険じゃないんですか?」
「まぁそれほど
危険な妖では無いですよ」
「ならその岩とやらを
鎌倉に運んでこい
狐を幕府で使役してやる」
「今度は狐を使って
弟を殺すんですか?」
「……」
「口を慎みなさい
エセ陰陽師」
「酷いなぁ
ま、命令とあらば従いますよ
朝廷としても幕府は失いたくないので」
*☼*―――――*☼*―――――
ドンッ
『わっ』
突然ぶつかってきた女
へんぴな服装で
顔立ちは整っていたが
何故か少し焦った様子だった
すみませんと謝ってくる女の腕の中に
探し求めていた小狐がいた
刀で脅すと
慌てて説明をしてきた
どうやら狐を助けたら巻き込まれたらしい
不運なやつだな